2013 Fiscal Year Annual Research Report
肝機能向上メカニズムの解明と肝機能向上を応用した培養デバイスの開発
Project/Area Number |
13J05172
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
隅井 干城 九州大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 肝細胞 / 一酸化窒素 / 流れ負荷 / 共培養 / 星細胞 |
Research Abstract |
肝細胞の機能向上と一酸化窒素(NO)との関連を調べるために, 細胞に一酸化窒素(NO)を直接負荷出来るデバイスを作製した. 従来NOを細胞に直接負荷する方法は少なく, 長期間ガスを負荷するデバイスは存在しなかった. したがってNOを負荷できるデバイスの開発は重要である. ガス負荷による細胞播種面の振動はガス流路と播種面を一体化させることで細胞の剥離を防いだ. また酸素ガスをNOとは別の流路から流すことで, 細胞に酸素とNOを同時に負荷しかつNOが酸化する前に細胞に負荷することが可能である. 更にこのデバイスは細胞に流れをかけることも可能であり, NOガスと流れの影響を同時に検討することが出来る. 作製したNO負荷デバイスを用いて肝細胞に異なる濃度のNOガス(0.5ppm, 5ppm)と流れを負荷し, 肝細胞機能(アンモニア分解量)を測定した. ガスを負荷しないモデルと比較し, 0.5ppmでは2倍, 5ppmでは1.4倍の機能向上が見られた. これは肝機能の向上にNOガス濃度が密接に関与していることを示しており, 機能向上に最適なNO濃度が存在することを世界に先駆けて発見した. 最適なNO濃度を明らかにすることは, 人工肝臓や低下した生体内の肝臓の機能を高める研究に対して非常に重要だと考えられる. 次に, 肝細胞と星細胞の共培養モデルに5ppmのNOガスを負荷した, 負荷していないモデルと比較するとアンモニア分解量に違いは見られなかった. この結果から, 5ppmのNOガスは肝細胞と星細胞の共培養モデルに影響を与えない可能性が示された. したがって培養している細胞の種類などが変化した時, 条件によって最適なNO濃度が存在し, 個別に調べていくことが重要であると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デバイスの材質変更や作製したデバイスで細胞が育たないなどの問題が発生したため研究の進行が遅くなったが, 全て問題を解決させ長期間継続的に一酸化窒素(NO)を負荷できるデバイスを完成させることができた. 完成させたデバイスを用いて2種類のNOガスを肝細胞に負荷し, NO濃度が肝細胞機能向上に影響をあたえることを世界に先駆けて明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
完成した一酸化窒素負荷デバイスを用いて, 肝細胞・星細胞・内皮細胞の共培養モデルに一酸化窒素を負荷する. 外部から与えられた一酸化窒素負荷が星細胞・内皮細胞にどのような影響を与え, それが肝細胞機能にどのような変化をもたらすのかを測定する. この実験から生体外で肝細胞機能を高める最適な条件を導き出す. さらに星細胞による肝細胞機能向上のメカニズムを解明する.
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Research Products
(7 results)