2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J05183
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
朴 東煕 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | クメール / 煉瓦 / 遺跡 / 修復 / 保存 / 古代技術 / モルタル / アンコール |
Research Abstract |
一年次研究では、クメール煉瓦遺跡に用いられた古代技術研究、修復材料研究、煉瓦構造の崩壊に関する傾向分析とクメール遺跡修復哲学研究を行った。 遺跡修復技術に適用するため、7~10世紀に建立された38基のクメール煉瓦遺跡を対象とし、適用された技術に対する研究を行い、7種類の建築技術と4種類の煉瓦組積技法を明らかにすることができた。それにとどまらず、時間的流れに伴う傾向が見られ技術の変化に対する可能性が分かった。この研究は現在日本建築学会の投稿論文として審査中にある。 修復材料に対する研究は煉瓦を再組積する際に用いるモルタルに対する研究を行った。遺跡周辺で手に入れられる材料の配合比を調節し物性を調査し、適合な配合比のモルタルを選定した。この研究は2013年8月の建築学会で発表した。 煉瓦造建物の構造崩壊に対する分析は、クメール煉瓦遺跡壁体全体の歪みを測定するための方法を構想した。多数の煉瓦遺跡を対象にするうえ、現場での測定を求めるため、測定の簡易性を考慮し制作した測定器を利用して測定し、分析した結果、クメール煉瓦遺跡の構造的歪みの様相を類型化することができた。この内容に関しては2014年5月イコモス国際シンポジウムで発表する予定であり、現在審査中である。 最後に、カンボジアでは過去20年間実施されてきたアンコール遺跡保存に対する3回の政府間会議があり、その協定文を整理・分析し、カンボジア遺跡保存に対する哲学的考察を行った。この研究は本研究全般の背景的研究であり、方法論に対する根拠となる。この研究は現在韓国建築歴史学会の投稿論文の審査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来の研究計画に追加で行った研究があり、そのため、遅れがあるところもある。 そして、交付申請書の年次計画とは順序が前後しているところもあるが、おおむね研究計画どおりに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本来の研究計画書では2014年度に1. 修復用煉瓦を制作し、2. 修復材料の改良と適用、3. 煉瓦構造の力学関係に関する研究を行い、4. 煉瓦構造支持体による構造安定化研究を行う計画であった。 実際に2014年度の研究推進計画は1.を除いた他の研究は順調に行う予定である。しかし、1.の修復用モルタルの製作は追加的研究が必要であるため、2014年度に修復用煉瓦を生産まで至るには時間が必要であると思われる。
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Research Products
(1 results)