2014 Fiscal Year Annual Research Report
染色体構築に必須な2つのコンデンシン複合体の生化学的解析と可視化
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13J05186
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
竹内 康造 独立行政法人理化学研究所, 平野染色体ダイナミクス研究室, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 染色体構築 / コンデンシン / クロマチン / ミニ染色体 / カエル卵抽出液 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンデンシンは分裂期染色体の構築に必須なタンパク質複合体である。カエル卵抽出液から精製したコンデンシンIは、ATPの加水分解を利用して2重鎖DNAに正の超らせんを導入することが知られており、染色体構築の本質的な反応のひとつと考えられている。しかしこれまでの機能解析は主にnaked DNAを基質としたものであり、コンデンシンがいかにして生体内の基質であるクロマチンに作用するかという点はよく分かっていない。本研究ではこの問題を解決するために、生体内を反映し、かつ操作の容易なクロマチン基質を使った実験系を確立しようと考えた。分裂期のカエル卵抽出液と精子核をインキュベートすると、単一染色分体からなる染色体(精子核由来染色体と呼ぶ)が形成される。一方でカエル卵抽出液と環状DNAをインキュベートすると、ヌクレオソームを基盤とした「ミニ染色体」と呼ばれる構造が形成される。本年度は様々な条件を検討した結果、精子核由来染色体とタンパク質組成及び生化学的性質の類似したミニ染色体をカエル卵抽出液中に構築することができた。現在、ミニ染色体のサイズや基質DNAの配列がコンデンシンの機能に与える影響など、これまでにない精密なアプローチで解析を行っている。本研究を進めることで、クロマチンを基質としたときのコンデンシンの振舞いが明らかになると考えている。そこで得られた情報と、これまでに集積されてきたnaked DNAを基質としたときのコンデンシンの分子活性の情報を組み合わせることができれば、染色体構築の分子メカニズムの理解は大きく前進する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で重要な実験材料となる理想的なクロマチン基質を準備することができたため。カエル卵抽出液中で形成されるミニ染色体を使った実験系を確立し、すでにいくつか興味深い知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階で、本研究課題の研究計画を大きく変更する予定はない。来年度は、ミニ染色体をカエル卵抽出液中から精製して、DNA超らせん化解析等の生化学的解析の基質とする計画である。既に、ショ糖密度勾配遠心法によるミニ染色体の精製を試み、良好な結果が得られている。今後は、精製したミニ染色体とコンデンシンとの機能的相互作用について、詳細に解析していきたい。
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