2013 Fiscal Year Annual Research Report
柔軟性を制御したPd担持ナノゲル触媒固定化膜リアクターの作製
Project/Area Number |
13J05206
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
瀬戸 弘一 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | Pd触媒 / ナノゲル粒子 / 鈴木カップリング反応 / 膜リアクター |
Research Abstract |
"柔軟性を制御したナノゲルに触媒活性部位としてPdを担持させ、Pd担持型ナノゲル触媒機能への立体構造(膨潤一収縮)の影響を調べる。" グリーンケミストリーの観点から、容易に回収が可能で繰り返し使用が可能な固定化触媒の開発が求められる。しかしながら、固定化触媒は均一触媒と比較すると活性が低いといった問題がある。酵素は優れた触媒であり主に生体内で合成されるタンパク質である。酵素の活性中心の立体構造は、結合に適した構造、触媒活性発現に適した構造、および解離に適した構造へと常に変化している。遷移金属触媒においても酵素と同様、活性中心周辺の環境を調節すると、触媒活性の制御が可能である。本研究では、パラジウム(Pd)を、相転移温度を境に立体構造が大きく変化する温度応答性高分子であるポリN-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAAm)ナノゲルに担持した固定化触媒を作製した。膨潤・収縮性の異なるPd担持ナノゲルを用いて、ナノゲルの立体構造が及ぼす触媒活性への影響を調べた。 ナノゲルは、NIPAAm(温度応答性部位)、3級アミンモノマー(Pd担持部位)、および架橋性モノマー(架橋部位)からなる。このナノゲルに、親水性あるいは疎水性モノマーを導入して相転移温度を制御した。このナノゲルにPdイオンを吸着および還元することで、Pd担持ナノゲルを作製した。電子顕微鏡観察より、ナノゲル中に数nmのPd粒子を確認した。Pd担持ナノゲルの触媒活性は、水中でのSuzukiカップリング反応により評価した。Pd担持ナノゲルは、有機合成で広く用いられるPd/Cと同程度の触媒活性を示した。さらに、Pd担持ナノゲルは、Pd/Cでは反応が進行しなかった常温においても触媒活性を示した。膨潤・収縮性をもつナノゲルにPdを担持させることで、水中および室温付近という温和な条件下で反応が進行する触媒となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高い触媒活性をもったPd担持ナノゲルを作製することができ、触媒活性に及ぼす因子が徐々に見出されてきた。今年度の研究成果は、学会発表や論文執筆にも繋がっている。また、本年度の後半には、次年度以降計画しているナノゲルの粘度測定および流通式膜リアクターの開発にも着手し始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は引き続き、様々な膨潤・収縮性をもっPd担持ナノゲルを作製して、ナノゲルの立体構造が及ぼす触媒活性への影響を調べる。また、Pd担持ナノゲルの活性を固定した流通式膜リアクターの開発も遂行する。Pd担持ナノゲル触媒固定化膜リアクターの活性へのPd担持量、基質溶液供給速度、および安定性の影響を調べて、効率的な物質生産システムの構築を目指す。
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Research Products
(15 results)