2014 Fiscal Year Annual Research Report
柔軟性を制御したPd担持ナノゲル触媒固定化膜リアクターの作製
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13J05206
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
瀬戸 弘一 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | パラジウム触媒 / ナノゲル粒子 / 鈴木カップリング反応 / 膜リアクター |
Outline of Annual Research Achievements |
“パラジウム担持ナノゲル触媒を膜に固定して、連続的に触媒反応が可能となるリアクターを作製し、あらゆる因子を化学工学的に評価して実用的な物質生産システムを構築する。”
パラジウム担持ナノゲルを固定した触媒膜リアクターを流通式Suzukiカップリング反応に適応するため開発した。パラジウム担持膜は、ナノゲルの固定、パラジウムイオンの吸着、およびパラジウムの還元の順で作製した。膜中のパラジウムの存在は、電子顕微鏡で確認した。膜中のパラジウムは、凝集することなく固定されていた。流通式Suzukiカップリング反応への膜リアクターの触媒活性は、直接パラジウムを担持した膜よりも2倍高かった。これは、ナノゲルを介することでパラジウムが微粒子化したためである。流通式リアクターにおけるパラジウム担持ナノゲルの安定性は、回分式リアクターよりも高かった。膜リアクターからのパラジウム触媒の漏出は確認されなかったため、生成物からのパラジウム触媒の分離は不要となった。パラジウム担持ナノゲル固定化膜リアクターは、繰り返し触媒反応に用いることができた。さらに、パラジウム担持ナノゲル固定化膜リアクターは、長期間の使用も可能となった。 しかしながら、パラジウム担持ナノゲル固定化膜リアクターを用いた流通式でのSuzukiカップリング反応の反応速度は、十分に高くなかった。これは、膜リアクター中のパラジウム触媒の担持量が小さいことが原因である。この課題を解決するため、リアクター中のパラジウム触媒の高密度化が求められる。これまでに、流通式でのクロスカップリング反応を反応工学的に評価した研究はあまり多くない。今回得られたパラジウム担持ナノゲルの触媒機能をフィードバックすることで、より効率的な物質生産システムの構築が可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で用いるナノゲルのライブラリーも完成し、あらゆる物性をもったナノゲル担体を作製できた。さらに、触媒活性に及ぼす各種因子が見いだされ、触媒の最適化ができつつある。作製した触媒の中には、これまでの市販の触媒に比べて格段に高い活性を示すものもあった。さらに、本研究の最大の目標であるリアクターの作製の基礎が出来上がり、物質生産システムの構築に繫がった。リアクターの作製に関する研究は、学術論文として受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は引き続き、架橋密度、触媒密度、および膨潤率を変化させたパラジウム担持ナノゲルライブラリーの触媒活性を評価し、触媒活性に及ぼす各種因子を見つけていく予定である。高い活性を発現するように設計したパラジウム担持ナノゲル触媒を、昨年度に作製した膜リアクターシステムに適用する。パラジウム担持ナノゲル触媒固定化膜リアクターの性能を化学工学的に評価することで、効率的な物質生産システムの構築を目指す。さらに、ナノゲル触媒構造およびリアクターを他の触媒反応にも適用することで、ナノゲル触媒の多様性を立証する予定である。
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Research Products
(11 results)