2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J05251
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小金丸 聡子 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 神経可塑性 / 経頭蓋磁気刺激装置 / 小脳皮質 / 運動学習 / 一次運動野 |
Research Abstract |
当研究では、非侵襲的脳刺激を利用して、小脳遠心路を増強し、小脳性運動障害を改善させことを目的としている。平成25年度は、予備実験にて、小脳にLTDを誘導する抑制性の非侵襲的脳刺激が一次運動野(Ml)の興奮性を低下させ、M1にLTDをもたらすことが明らかになった。これまでの既報告では、小脳においてLTDを誘導する抑制性の非侵襲的脳刺激はM1の興奮性には影響しないと結論づけられている。もし、小脳への抑制性刺激によってM1にLTDが誘導されるのであれば、運動学習は阻害されることが予想される。よって既報告と異なるこの現象を詳細に解明し、その上で小脳とM1の連関を増強してM1にLTPを誘導し、小脳性運動学習を促進する手法を開発することとした。 そこでまず、非侵襲的脳刺激である経頭蓋磁気刺激法(TMS)にて右側小脳半球皮質にLTDを誘導するような1Hz反復TMS (rTMS)を行い、その前後で左側M1 (Hand領域)刺激により、皮質興奮性の指標である運動誘発電位(MEP)振幅を測定し、Ml内のGABA抑制性ニューロンの活動を表すSilent Period、小脳とM1のペア刺激により測定される小脳抑制(CBI)を対側のFDI筋より測定した。また行動実験として、両手の回内・回外運動、反応時間を測定した。その結果、刺激直後、及び10分後にて、右側FDI筋のMEP振幅が有意に低下したが、左側FDI筋のMEP振幅は変化しなかった。また、Silent Periodも有意に延長し、Ml内のGABAニューロンが増強されたことが分かった。また右側FDI筋のMEP振幅の低下に関連して、同筋におけるCBIが減弱していた。行動実験として、両手の回内・回外運動は刺激後遅延した。また、反応時間も右上肢では遅延した。今後は、小脳皮質刺激により、M1が活性化し、運動学習を促進するような刺激法を検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、小脳及び一次運動野の非侵襲的刺激が一次運動野の神経活動及び運動機能に与える影響について詳細な検討を行った。一部当初の予測と異なるが、新規な知見を得ることができ、今後さらに効率的な刺激法の開発につなげることができると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、小脳皮質刺激により、Mlが活性化し、運動学習を促進するような刺激法を検討していく予定である。
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Research Products
(9 results)