2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J05259
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
齋藤 平和 早稲田大学, 基幹理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | Navier-Stokes euations / free boundary problem / surface tension / gravity / Stokes equations / R-boundedness / infinite layer / Lp-Lq framework |
Research Abstract |
当該年度は3つの研究成果が得られた. 1. 層領域においてNeumann-Dirichlet境界条件の一般化Stokesレゾルベント問題の解作用素の族のR-有界性を証明した. 本結果の重要な点は, Σ_<ε, δ>={λ∈c||argλ|≦π-ε, |λ|≧δ}(0<ε<π/2, δ>0)上の解作用素の族のR-有界性を証明したことである. 一般的な放物型理論では, δ>0は0<ε<π/2に依存する十分大きな数を選ばなければならないが, 本結果ではδ>0を任意に選べるということが重要である. また, 解作用素の族のR-有界性の応用として, 対応するStokes問題に対する最大正則性定理も証明した. 2. 半空間において表面張力と重力を伴うStokes問題の解のLq-Lr減衰評価を証明した. Shibata-Shimizuにより本問題に対する最大正則性定理が示されていたが, 解の減衰評価に関する結果は知られていなかった. Shibata-Shimizuの解表示に現れるLopatinskij行列式の根を求め, Cauchyの積分定理を用いて解析半群の積分路を左半平面に移動し, 根に対して留数定理を用いることで減衰評価が得られた. また, 指数q, rに対して1≦r<2<q≦∞なる制限が付くことが本結果の特色である. この制限は, 圧縮性粘性流体方程式の解の減衰評価を導くときに現れることが知られており, 放物―双曲型方程式系の解の特徴と見なすことができる. 本問題の場合は, 自由界面の運動を記述する方程式が双曲型方程式なので, この制限が現れると考えられる. 3. ある非有界領域におけるNavier-Stokes方程式に対する自由境界値問題の時間大域的適切性をLp-Lq枠で証明し, 解の漸近挙動も明らかにした. 本研究では, [a1] : 2<q<4, [a2] : (2/p)+(3/q)<1なる仮定が重要である. [a1]は(2)のLq-Lr減衰評価をr=q/2として用いるためである. p=qとすると[a1], [a2]が同時に成立しないことが容易に分かるため, 本研究ではp≠qなるLp-Lq枠で考察することが本質的である. このように, Lp-Lq枠の有用性を明らかにしたのは本結果が初めてであり非常に重要な結果と言える.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線形化問題の解析において層領域の場合は計算が複雑なので, まずは半空間の場合に表面張力および重力付きの問題を考察し, それに対応する非線形問題も扱った。半空間の問題を通して得られたことは, 線形化問題の解の減衰評価の導き方や, 非線形問題の新しい解析手法を確立できたことである. これらは, 層領域の場合にも応用可能であると思われる. 一方で, 半空間の問題を考察したことで時間が掛かってしまい, 当初の研究計画より少し遅れてしまった.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は次の2点を証明することである. (1)層領域の場合に表面張力および重力付きの問題を考察し, 線形化問題の解の減衰評価を導く. (2)上記(1)の結果を用いて対応する非線形問題の時間大域解の一意存在および解の漸近挙動を明らかにする. 今年度は半空間の問題に関して(1), (2)を証明することができた. 同様の解析手法が層領域の場合に応用可能であると思われるので, スムーズに次年度の研究計画((1), (2)のこと)を遂行できると考えている.
|
Research Products
(9 results)