2014 Fiscal Year Annual Research Report
人間を模擬した歩行・走行運動が可能な2足ヒューマノイドロボットの開発
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13J05260
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大谷 拓也 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ロボット / ヒューマノイド / 歩行 / 走行 / 人体運動計測 / 骨盤 / 脚弾性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,人間と同等な運動能力を有するヒューマノイドロボットを用いた新しいスポーツコーチング学の創出を目指し,人体運動を模擬した歩行運動と走行運動が可能な2足ロボットを開発することを目的とする.昨年度は,人間の走行運動計測の結果から前額面における骨盤動揺が地面の蹴り出しの補助および着地衝撃吸収に寄与している可能性があることを発見した.そして,骨盤を含めた新たな走行運動モデルを考案し,シミュレーションおよびロボット実機での実験を通して,その有効性を検証した.今年度は,その人体計測データおよびモデルを元に,人間のような膝関節・足関節弾性を有する2足ロボットを開発した. 走行中の人間の脚は,立脚時には直動ばねのように振る舞い,またそのばね性は膝や足関節の回転ばね性によることが分かっている.また,遊脚時には膝を高速に屈伸することで,地面からのクリアランスを確保し,かつ遊脚の慣性モーメントを小さくしながら,脚を前に振り出す.このような動作について,関節駆動部にセルフロック機構を持つウォームギアと膝・足関節の立脚中の回転弾性を模擬するCFRP製板ばねを用いることで,立脚時に要求される大出力と遊脚中に要求される高速屈伸を実現した.弾性を取り入れたことにより,大出力の発揮が可能でありながら,脚の各部の寸法や質量は日本人成人女性と同程度となった.これは,既存の他のロボットにも応用が可能なものである. 開発したロボットを用いて,骨盤揺動と脚弾性を利用することにより,機体の前傾後傾方向の回転を拘束した状態で片脚での走行運動を実現した.今後は,人間のように稼働するロボット上半身を製作することで,人間の走行時のように上半身や腕を用いて安定化を行うことで,全身を用いた走行を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である人間の歩行・走行の模擬に関して,最も大きな問題であった出力不足に対して,関節に板ばねを搭載することで出力を向上することができた.これは,人間の関節弾性を模擬しそれを利用したものであり,人間の関節弾性という特徴の有効性も同時に示している.これと,昨年度の骨盤揺動とを組み合わせることで,片脚による走行運動を実現することができた.片脚ではあるが,跳躍は十分であるため,両脚での走行も実現できると考える.また,安定した走行のためには,人間同様上半身の寄与が大きいと考えられるため,今後上半身を製作し,全身での運動を目標とする.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,まず現状のロボットでも可能であると考える跳躍中の膝の屈伸による両脚での走行運動の実現を行う.現在の走行実験において,跳躍時間が0.1[s]以上確保できているため,実験環境を整えることで実現可能と考える.さらに,人間のように稼働するロボット上半身を製作することで,人間の走行時のように上半身や腕を用いて安定化を行うことで,機体拘束がない状態での走行を目指す.人間は走行中に上体を傾けることや,腕を振ることでモーメントを発生させ,安定化を図っていると言われている.初年度に共同研究者らとの人体計測では,走行中に被験者の上肢を拘束した場合についても計測しており,これにより得られた人間の走行時のデータを元に,人間の上半身・上肢の必要性について改めて検証し,ロボットで実現する動作を決定し,上半身を製作する.これにより,全身での動作が可能になると考える.
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Research Products
(5 results)