2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規抗腫瘍薬の創製を指向したゲルセミウム属アルカロイドの合成研究
Project/Area Number |
13J05263
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 尭明 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 全合成 / 類縁体合成 |
Research Abstract |
共通の中間体から同属化合物を、独自の反応条件を活用しつつ幅広く合成し、構造活性相関を行うことで、天然物をシードとした新規抗腫瘍薬を創製することを目的としている。Gelsemium属アルカロイドのうちHumantenine型、Gelsemine型、Gelsedine型に含まれる化合物は共通してスピロインドリノンを含む7員環骨格を持っている。近年、Gelsedine型の化合物の中には腫瘍細胞に対する細胞毒性を有するものも報告されており、同様な骨格を有するHumantenine型やGelsemine型も含め、天然物をシードとしたGelsemium系新規抗腫瘍薬の創製が期待できる。 このような目的のもとで研究を行った結果、今年度は昨年度達成していたGelsemoxonineに加え、さらに4種のGelsedine型化合物の不斉全合成を達成した。具体的にはラクタム構造を有するGelsedilam、ピロリジン環を有するGelsedine、さらに酸化度の高いGelsenicineや14-Hydroxygelsenicineの合成を行った。今年度の研究について3つの成果を挙げることができたと考えている。一つ目は、現在までに不斉全合成の報告がなかったGelsedine型化合物を5種類全合成したことである。二つ目は、中心骨格を有する化合物をあらかじめ合成し、それを用いて様々な同属化合物の合成を達成したことで、天然物を基軸とした化合物ライブラリー構築を指向した本合成経路の妥当性を示すことができた点である。三つ目は、Gelsemoxonine合成の際に見出したTMSCNおよびDBUを用いた分子内レドックス反応を活用した独自の変換を再び適用することで本反応の有用性を示すことができた点である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際に5種類のGelsedine型化合物の不斉全合成を達成したことで、本合成経路の妥当性を示すことができ、天然物を基軸とした化合物ライブラリー構築が大いに期待できる成果を挙げることができたと考えているため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに報告した通り、今年度5種類のGelsedine型化合物の全合成を達成することができたので、今後はGelsemine型化合物やHumantenine型化合物の合成を目指した変換を行っていきたいと考えている。さらに、Gelsemium系の新規抗腫瘍薬の創製を達成することを目標とし、合成した化合物について構造活性相関等を行い、構造の最適化を行うことを計画している。
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