2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J05272
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒川 博文 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 幸福度 / 時間割引 / アイトラッキング |
Research Abstract |
1. アイトラッカーという視線を追う装置を用いて、時間割引を測定する際のプロセスを明らかにした。時間割引とは我慢強さやせっかち度を表し、直近にもらえる報酬と、将来により多くもらえる報酬のどちらが好みかというような質問を繰り返して測定する。このとき、どれくらい待つかという期日の比較や、どれくらいもらえるかという報酬金額の比較だけでなく、それぞれの現在価値も計算して、比較していることを視線の動きから明らかにした。また、先行研究との比較により、期日が報酬を受け取る日付で書かれている場合よりも、報酬を受け取るまでの遅れ(日数)で書かれている場合の方が現在価値の計算をしやすく、注目する箇所が異なることを明らかにした。この研究は、日本経済学会、行動経済学会、Asia-Pacific ESA Conferenceで報告を行った。特に、行動経済学会における口頭報告では行動経済学会奨励賞を受賞した。アイトラッカーを用いることによって、ブラックボックスとされていた意思決定のプロセスを明らかにしたことに本研究の意義がある。 2. 幸福度と時間割引に関する実験を行った。時間割引率が高い人、つまり、せっかちな人ほど幸福度が低いことが知られている。この実験では、幸福度が高くなると、時間割引がどのように変化をするか逆の因果関係について考察を試みている。幸福度を一時的に高める映像を見せるグループと、幸福度に影響を与えない映像を見せるグループに分ける。それぞれのグループに映像を見せた後に時間割引を測定する。時間割引を測定する際に、直近にもらえる報酬と、将来にもらえる報酬のどちらか一方を選択するのではなく、直近と将来に報酬をどのように配分するかによって時間割引を測定するAndreoni and Sprenger (2012)による新しい手法を用いて考察している。なお、実験の結果は分析の途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内外での学会で報告した際に得られたコメントをもとに論文の改定を進めている。また、シンガポール国立大学主催の行動経済学に関するサマースクールに参加し、行動経済学の第一線の研究者による講義を受け、行動経済学の知見をより広く習得し、研究に活かしている。
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Strategy for Future Research Activity |
「9. 研究実績の概要」で記した2.に関して結果の分析を進め、必要かあれは追加実験を行う。
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Research Products
(4 results)