2014 Fiscal Year Annual Research Report
集団間の情報流通を考慮した集合的意思決定の理論と実験による分析
Project/Area Number |
13J05358
|
Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
関口 卓也 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 集合的意思決定 / コンドルセの陪審定理 / 判断集計 / 社会的影響 / 確率進化ゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
年度前半は,昨年度の研究の拡張をした.まず、逐次的意思決定状況での集合的決定の精度であるが,昨年度のモデルに加え,複数のモデルの解析を行ったところ、模倣の仕方の仮定を少し変えるだけで、先行する意思決定者が後続の意思決定者に与える影響力の分布の関数形が異なるものになることが分かった。特に、模倣のメカニズムは異なるが、独立に意思決定する個人の頻度が同じになるように調整した2つのモデルを比較することで、後続する個人の意見形成に与える影響力に格差があることという2つの要因によって集合的決定の精度が劣化するという本研究の主張の1つの効果が明確になった。つぎに、各個人が複数の議題に対しての投票を求められているが、それらが論理的に結合している状況を扱った。この場合、各人が論理学的に無矛盾な判断をしたとしても、それを集団レベルで集約した帰結は論理学的に矛盾することがある。昨年度は、各人の意思決定に相関がある場合を扱ったが、各人の意思決定精度は定数として与えられていた。本年度はさらに、意思決定精度が特定の確率分布に従って定まると仮定した場合に、どの程度矛盾が生起するのかを評価した. 今年度はさらに、プレイヤー数が有限の複数集団間での確率進化ゲームを扱った。この場合、各吸収状態への固定確率が戦略の優位を評価する基準になる。本研究では、2×2双行列ゲームの戦略の固定確率の一般式を導出した。この研究では、集団で全員が同じ行動選択をしている状況を吸収状態としているが、これを集団が合意に達している状態だと解釈すると、どのような意見が合意に達しやすいか、合意に至るまでにどれくらいの時間がかかるか、といった分析が今後可能になると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
陪審定理,判断集計,複数集団間の確率進化ゲームに関しての理論研究は概ね順調に進展し,いくつかの論文を投稿することができたが,一部不慣れな手法を用いる必要があったため,予定していた実験を行うための時間が十分にとれなかった.
|
Strategy for Future Research Activity |
遅れをとっている実験研究を重点的に進める予定である.
|
Research Products
(8 results)