2015 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ心筋FoF1ATP合成酵素の機能する完全複合体の構造解析
Project/Area Number |
13J05370
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
慈幸 千真理 大阪大学, 蛋白質研究所, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 膜蛋白質 / 三次元結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでの研究でウシ心筋 FoF1ATP 合成酵素全長の精製に成功した。しかしながらATP 合成酵素は、超分子複合体の膜蛋白質で、著しく不安定であるため、これまでの可溶化、精製条件では、壊れた酵素分子も含まれていることを確認した。酵素分子が壊れるのは、ミトコンドリア内膜に由来する脂質が取り除かれ不安定になることによる。よって界面活性剤により可溶化したままでは不安定であるため、脂質二重膜に戻すことによりATP合成酵素を安定化させる方法が有効であると考えて二次元結晶化を行った。ここで得られた二次元結晶を用いて極低温電子顕微鏡により解析される構造(Jiko et.al eLife 2015)は、膜蛋白質の膜上での構造をより正確に反映するものと考えられる一方で、分解能が低いために ATP 合成酵素のメカニズムについて詳細な考察をすることができなかった。三次元結晶化に成功するために、無傷で安定なFoF1ATP合成酵素の精製方法を確立することに重点をおいた。これまでの精製方法は、1100gのウシ心臓から基本的に以下の3段階をへて精製していた。1)ミトコンドリア内膜を単離し、界面活性剤(decylmaltoside)存在下で可溶化し、2)ショ糖密度勾配遠心法、3)陰イオン交換クロマトグラフィ(PorosHQ20)。酵素分子の分解は、精製過程で用いたイオン交換クロマトグラフィの精製によって生じた。それは、イオン交換樹脂との相互作用によって酵素本来の構造に負荷をかけるからである。よってイオン交換クロマトグラフィに替わる精製方法を検索した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電子顕微鏡構造解析の結果を積極的に結晶化に反映させ、実験を進捗させた。FoF1ATP合成酵素は、複数のサブユニットから構成される複合体膜蛋白質であるが、地道な試料評価を行った結果、無傷な試料を得るための精製方法の改良が決定的に重要であることを見いだした。本年度中に三次元結晶を得ることはできていないが、今後の研究の発展に期待できる状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き地道な試料評価を行い、無傷なATP合成酵素を精製する方法を確立し、良質な三次元結晶化を得るための条件検討を行う。
|
Research Products
(1 results)
-
[Journal Article] Bovine F1Fo ATP synthase monomers bend the lipid bilayer in 2D membrane crystals.2015
Author(s)
Jiko, C., Davies, K.M., Shinzawa-Itoh, K., Tani, K., Maeda, S., Mills, D.J., Tsukihara, T., Fujiyoshi, Y., Kuhlbrandt, W. & Gerle C.
-
Journal Title
eLife
Volume: 4
Pages: 06119
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant