2013 Fiscal Year Annual Research Report
電気系/機械系マルチフィジックス・シミュレーション技術の基盤形成に関する研究
Project/Area Number |
13J05488
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
關根 惟敏 静岡大学, 創造科学技術大学院, 特別研究員(PD)
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Keywords | マルチフィジックス / 電気系シミュレーション / 機械系シミュレーション / アイソジオメトリック解析 / CAD (Computer-Aided Design) / NURBS (non-uniform rational B-spline) / 大規模問題 / 高速解析 |
Research Abstract |
1. 具体的内容 本研究の基礎となる「アイソジオメトリック解析」について、理論の理解や周辺分野の研究調査を行いました。その過程で、3次元形状を表現するためのBスプラインやNURBS (non-uniform rational B-spline)、機械系のシミュレーションで用いられる有限要素法、及び解析対象となっている機械系の力学問題についても学びました。そして、機械系シミュレーションに用いられているアイソジオメトリック解析を、電気系シミュレーションに応用する方法について検討しました。この検討の成果として、「アイソジオメトリック解析を静電界解析へ応用した手法」を提案し、車体を想定した導体曲面の解析に応用しました。一方、複数の物理現象を扱うマルチフィジックス・シミュレーションでは、解くべき問題が大規模になりやすいため、大規模な偏微分方程式を効率的に解く方法が必要となります。これに関連して、大規模問題の高速な解析を実現するため、「数値的に安定な陰解法を部分的に取り入れた局所陰的陽解法」、及びその「最適な実装方法」、「局所安定化陽解法」、「等角メッシュに基づくモデリング手法」を提案し、プリント基板や三次元集積回路の解析へ応用しました。 2. 意義 アイソジオメトリック解析を機械系だけでなく電気系のシミュレーションにも応用するこで、同種の解析手法を異なる物理現象に用いることができ、それぞれの解析を同時に行うマルチフィジックス・シミュレーションを行いやすくすることができます。また、大規模問題を高速に解析する手法は、現実的な時間内で実問題をシミュレーションするためには必須であり、実用的な新規手法を提案できたと考えます。 3. 重要性 電気系の回路・電磁界シミュレーションと機械系物理シミュレーションを融合するための基礎となるアイソジオメトリック解析の研究を行うことは、研究分野の境界を超えた発展的研究、及び研究領域の開拓と科学技術のさらなる進歩に大きなインパクトを与えることができます。また、回路理論、電磁気学、熱・流体力学、構造力学に基づく協調設計システムを確立し、ヒューマンインターフェースを含めた統合的解析技術の基盤形成へ貢献することができます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で、マルチフィジックス・シミュレーションの基礎となるアイソジオメトリック解析についての理論的理解や、応用のための検討・提案が行えています。また、国際会議にそれらの研究成果を投稿するなど、当初は予定していなかった成果を実現できています。よって、計画以上に進展していると考えます。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で検討したマルチフィジックス・シミュレーションのための手法における欠点や解析困難な対象などを考察し、それらの解決策を考察します。また、現在は簡易的な導体曲面のみを扱っているため、今後は車体や人体を想定した、より複雑な曲面を持つ解析対象へ応用します。そして、例えば回路・電磁界解析における高速化手法や、槽造解析における形状モデルの精度向上手法などを取り入れ、実問題へ応用するための改良を行います。一方、検討した手法を実際にプログラムとして記述し、CADデータと解析実行プログラムを結びつけることで、シミュレータのプロトタイプも作成します。加えて、解析結果の直感的な理解のための表示や分析を可能にするため、GUIによる制御を実現します。
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Research Products
(11 results)