2013 Fiscal Year Annual Research Report
社会学者によるアメリカ合衆国から南アフリカ連邦への黒人教育思想の移転に関する研究
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13J05511
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
上林 朋広 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 南アフリカ / 比較史 / アメリカ合衆国 / アメリカ南部 / 黒人教育 / ナタール / タスキーギ学院 / 交流史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、社会学者の国際的なネットワークによるアメリカ合衆国から南アフリカへの黒人教育思想の移転、及び人種隔離政策の形成過程での同思想の利用を検討することで、従来は比較史の観点から考察されてきた両国の人種関係を、相互連関の視点から捉え直すことである。 平成25年度の研究実施状況は以下の3点にまとめることができる。 ①刊行史料の収集と読解 : 図書館相互貸し出しや、インターネットを利用することで、研究対象とする政治家や社会学者の著作・論文を収集した。具体的には、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍した、南アフリカ・ナタール州のイギリス系白人政治家Maurice S. Evans及びイギリス系白人社会学者Charles T. Loramの著作・論文を収集した。これらの刊行史料の読解に基づき、南ア白人のアメリカ南部認識に関する報告を行った。 ②研究動向の把握 : 最新の研究動向を捕捉しつつ、上記の政治家・社会学者の議論を当時の思想的文脈に位置付けることを試みた。この点に関しては、特に南アフリカ史の研究を渉猟することに重点を置いて研究を進め、それに基づいて報告し、特にアフリカ研究の観点から指摘・アドバイスを受けることができた。 ③アーカイブ史料の収集 : 予定通りアメリカ合衆国及び南アフリカ両国において史料調査を行った。アメリカ合衆国での史料調査においては、アメリカ黒人及びアフリカ人の教育への支援を目的とした財団であるPhelps Stokes Fund関係の史料をイェール大学図書館及びニューヨーク公共図書館ショーンバーグ黒人文化センターで収集した。南アフリカでの史料調査では、National Archives of South Africa及びKillie Campbell Africana Libraryで、アフリカ人統治政策及び教育政策に関する史料収集を目的として、調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度にあたる平成25年度は、おおむね当初の予定通り研究を進めることができた。アメリカ合衆国及び南アフリカの両国で予定していた史料収集を実施することができた。また、先行研究の整理及び研究会での報告を通して、研究代表者が従来専攻してきたアメリカ史という槻点からのみではなく、南アフリカ研究という観点からも意義のある研究となるよう研究計画を練り直すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の2年目にあたる平成26年度では、平成25年度に収集した資料に基づき研究を進め、その成果を基に研究会及び学会で報告を行うこと、投稿論文を準備することを計画している。また、引き続き、研究動向の把握、アメリカ合衆国及び南アフリカ両国においてアーカイブ史料を収集も行う。
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