2014 Fiscal Year Annual Research Report
社会学者によるアメリカ合衆国から南アフリカ連邦への黒人教育思想の移転に関する研究
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13J05511
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
上林 朋広 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 南アフリカ / 人種 / アメリカ合衆国 / アメリカ南部 / 黒人教育 / タスキーギ学院 / 交流史 / 比較史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、社会学者の国際的なネットワークによるアメリカ合衆国から南アフリカへの黒人教育思想の移転、及び人種隔離政策の形成過程での同思想の利用を検討することで、従来は比較史の観点から考察されてきた両国の人種関係を、相互連関の視点から捉え直すことである。 平成26年度の研究実施状況は以下の3点にまとめることができる。 ①史料の読解:平成25度収集した史資料の読解を進めた。特に19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍した、南アフリカ・ナタール州のイギリス系白人政治家Maurice S. Evans及びイギリス系白人社会学者Charles T. Loramの著作・論文を、ナタール州政府、南ア連邦政府の報告書と合わせて読解を進めた。これらの刊行史料の読解に基づき、南ア白人のアメリカ南部認識に関する報告を行った。この点に関しては、平成25年度収集した史料の読解に基づいて南部史研究会で報告し、特にアメリカ南部史研究の観点から指摘・アドバイスを受けることができた。 ②研究動向の把握:最新の研究動向を捕捉しつつ、上記の政治家・社会学者の議論を当時の思想的文脈に位置付けることを試みた。 ③アーカイブ史料の収集:平成26年度は南アフリカにおいて、National Archives of South Africa (Pretoria)、Killie Campbell Africana Library(Durban)、University of the Witwatersrand(Johannesburg)で史料収集を実施した。以上の資料館で収集した史料は、従来はアフリカ人教育のみの観点から捉えられてきた教育政策を、アフリカ人に関する統治政策全体のなかに位置づけて考察する上で重要な情報を得ることができる史料であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第2年度にあたる平成26年度は、おおむね当初の予定通り研究を進めることができた。円安もあり、アメリカ合衆国で予定していた調査を実施することはできなかったが、南アフリカで予定していた史料収集を実施することができた。また平成25年度に収集した史料及び先行研究の整理に基づいて、南部史研究会においてその成果の概要を報告することができた。結果として研究代表者が従来専攻してきたアメリカ史という観点からのみではなく、南アフリカ研究という観点からも意義のある研究となるよう研究計画を練り直すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の3年目にあたる平成27年度では、平成25,26年度に収集した資料に基づき研究を進め、その成果を基に研究会及び学会で報告を行うこと、投稿論文を準備することを計画している。また、引き続き、研究動向の把握、アメリカ合衆国及び南アフリカ両国においてアーカイブ史料の収集も行う。
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