2013 Fiscal Year Annual Research Report
鳴トンネル素子をテラヘルツ波源とした無線通信へ向けた予測性能の包括的理論解析
Project/Area Number |
13J05516
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
浅川 澄人 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 共鳴トンネルダイオード / 粒子群最適化手法 / Feature Selective Validation |
Research Abstract |
本年度は共鳴トンネルイオード(RTD)の非線形性の高周波に関して研究を行った。具的には、1. RTDの非線形性および高速応答性を決めている物理パラメータ(トンネル時間、緩和時間、走行時間)を考慮した物理モデルベースのRTDのアドミタンス関数を導出し、2, このアドミタンス関数が上記物理パラメータを調節することで測定データを表現できるかを検証した。また2の検証により導出したアドミタンス関数が妥当であると判明すると、測定データを表現できた際の物理パラメータはそのRTDの物理パラメータを抽出したことと同義となる。またこの物理パラメータの検証・抽出手法には、粒子群最適化(PSO)手法とFeature Selective Validation (FSV)という手法を組み合わせることを試みた。この試みは本研究が初めてであり、これら2つの手法を取り入れることで、1. 考慮すべき物理パラメータの数が多くなっても検証・抽出が可能となる、2. 理論が実測を表現できるか否かを数値的・視覚的に評価できる、というメリットがある。そして本年度の研究成果として、導出したアドミタンス関数はRTDの高周波測定結果を制度よく表現できることが明らかとなり、この結果からこのアドミタンス関数は妥当であるといえる。本年度の研究成果によってRTDの非線形性の高周波応答が明らかとなったため、本研究の目的であるRTDとアンテナを集積したテラヘルツ波源の高周波応答特性を定量的に評価できるようになると予測される。そしてこの高周波応答特性は波源の発振周波数や放射パワーの周波数的な揺らぎや、変調特性、雑音特性を予測する上で重要なパラメータである。こういった観点から本年度確立したRTDの物理パラメータ抽出手法は工学的に意義があり、本研究の基盤となる重要な部分である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は博士論文の審査があったため、学会発表や学術誌への論文投稿を行う事はできなかったが、研究の達成度としては順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、1. RTDの理パラメータの抽出精度向上、2. RTDとアンテナを集積したテラヘルツ波源の周辺部の回路に関して電磁界シミュレータを用いた構造設計、3. RTDとアンテナを集積したテラヘルツ波源の構造スケーリングに対する特性変化を大信号解析手法を用いて理論解析、の3点を行っていく。そのため申請時の研究計画であったデバイス作製から、デバイス作製に向けた理論解析への計画変更を行う。
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