2013 Fiscal Year Annual Research Report
マッチング理論による日本の制度改革:望ましい研修医割り当て方式
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13J05523
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 光 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マッチング / 匿名性 |
Research Abstract |
本年度は、米国ロチェスター大学経済学部に滞在し、(1)以前より行っていた片側マッチング理論における公平性に関する研究のまとめ、(2)マッチング理論およびその実際の制度への応用研究に関する調査および情報収集、および(3)確率的概念を導入した片側マッチングに関する理論的研究、の3つを行った。片側マッチング理論は、分割できない財を割り当てる際により良い方法を探究するもので、近年、米国における腎臓移植問題に対して実際に応用されている、社会的に有用な理論である。本年度の前半では現地での指導教官であるWilliam Thomson教授およびその学生らとともに、研究内容についての議論を行い、証明の訂正や改良、さらに本研究で提唱する新たな公平性の概念である、「異なる選好への匿名性」の定式化を改良したりと、研究内容をさらに深めた。また、それを9月に大阪大学との合同で開かれた国際ワークショップ"Osaka-Rochester Theory Workshop"にて発表した。本年度後半からは、主にマッチング理論やその応用、およびその関連研究に関して、学内外の研究者との対話を通じて情報収集を行った。本年度後半の途中からは、片側マッチングに関する理論的基礎研究"Maximal Domain for Strategy-proof Rules in Probabilistic Assignment Problems"に着手し始めた。この研究は、片側マッチング理論において、財を確率的に割り当てる際、マッチングメカニズムが効率性・公平性・耐戦略性(各個人が自分の正直な選好を提出するインセンティブを持つ)という3つの条件を満たすための選好の条件を調べるものである。現在、財および参加者の数が4以下のときの条件はすでに得られており、それを一般の場合に拡張中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は1年間米国ロチェスター大学に滞在し、情報収集をメイン作業のうちの1つと位置付けて活動を行っていたため、アウトプットに割く時間が思いのほか少なくなり、当初計画していたほど研究は進展させることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、片側、及び両側マッチング理論において、理論的な未解決問題が未だ多数残されていると感じるため、それらの分野での未解決問題について研究を行うつもりである。具体的には、まず「研究実績の概要」で述べた片側マッチングに関する研究を引き続き行う。また、両側マッチングに関して、学生や研修医等、各個人の属性を考慮し、彼らの組み合わせ先における、属性ごとの人数に制限を加えたモデルを考える。そのようなモデルにおける、望ましい性質を満たすマッチングメカニズムの考案、および特徴づけを行うつもりである。
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Research Products
(1 results)