2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J05677
|
Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
伊東 未来 南山大学, 人文学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 都市 / アフリカ / イスラーム / 交易 / サハラ / サヘル |
Research Abstract |
本研究の目的は、以下のふたつの段階に分けられる。1)西アフリカのサヘル・サバンナ地帯の伝統的都市を、その都市性に着目してそれぞれに調査する。2)これらを互いに比較し、諸都市の差異と共通性を同時に考察することで、「西アフリカ都市文明」を構想する。今年度は主に1)について、文献調査およびマリ共和国バマコでのフィールド調査をおこなった。 文献調査について : 西アフリカのサヘル・サバンナ地帯の都市と交易の歴史、都市に居住する諸民族の民族誌などを収集し、精読・考察をおこなった。そのうち、西アフリカ内陸部の都市のイスラームと市場にかんする考察を、著書『マリ共和国ジェンネにおけるイスラームと市場』でおこなっている。また、伝統的都市で漁業に従事する人びとの暮らしについて、「ソルコージェンネに暮らす河の民」にまとめた。 フィールド調査について : 研究計画書では、今年度に約3か月間のブルキナファソ北部での調査を予定していた。しかしテロリストの活動の活発化によるサヘル地帯の情勢不安で日本外務省から退避勧告が出ていたため、計画通りに渡航することが不可能であった。そのため以下のA・Bのように調査地および調査機関を変更した。2013年12月の4日間に岩手県沿岸部(A)と2014年2月~3月の3週間にマリ共和国バマコにでフィールド調査(B)。2014年3月の1週間にフランス国パリにて文献調査(C)。Aで被災した伝統的都市の文化財保護活動について調査し、Bの調査の比較対象とした。Bでは、西アフリカの伝統的都市トンブクトゥから、テロリストの攻撃を避けるために移管された中世古文書の救出活動について調査をおこなった。Cでは、西アフリカ諸国の伝統的都市に関する文献の収集・閲覧をした。主に、アラビア語で書かれた西アフリカの伝統的都市の史料のフランス語訳本、都市間の交易にかんする史料に焦点をあてて文献調査をおこなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を研究会等で発表し、そこでの議論をふまえて出版物にまとめることができた。フィールド調査は当該地の情勢不安により渡航先と期間の変更を余儀なくされたものの、比較調査をおこなったり、海外渡航前に関係諸機関と密な連絡をとって調査の実行可能性について討議するなどしたので、限られた期間内で有益な成果を得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度末におこなったフィールド調査の成果の一部は、2014年4月の研究会と5月の学会で発表予定である。これらを文献調査の成果と合わせて、26年度内に論文として発表することをめざす。 調査をおこなう地域の一部は現在も政情不安で退避勧告がでているため、情勢にかんする情報に常に注意する必要がある。今後も政情が安定せずに渡航が困難なようであれば、調査目的の完遂に支障のない範囲で、計画していた調査地と調査期間を再検討する必要がある。
|
Research Products
(6 results)