2014 Fiscal Year Annual Research Report
〈臨生〉の思想圏に関する教育人間学的研究-自己変容と他者性をめぐる知の技法の解明
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13J05714
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小木曽 由佳 京都大学, こころの未来研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 個別性 / 普遍性 / ユング / スピリチュアリティ / ソーシャルワーク / 死 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究計画のうち、①〈臨生〉の視座を持つ諸思想の検討、および③心理療法およびケアの領域における基礎理論の検討という二つの課題に取り組んだ。 ①の課題に関しては、ユング(Jung, Carl Gustav)が自らの「個別的」な体験を「普遍性」をもった知の形としていかに昇華させたかという問いについて引き続き検討し、その成果は『ユングとジェイムズ―個と普遍をめぐる探求』(単著)(創元社、2014年6月)として出版された。また、論文“The Red Book and Psychological Types: A Qualitative Change of Jung’s Typology”が、査読審査の結果、Analytical Psychology in a Changing World: The search for self, identity and community(L. Huskinson and M. Stein (ed.))(Routledge: London and New York, 2014. 8)に採録された。 ③の課題に関しては、〈臨生〉の思想を含むスピリチュアリティの問題をケアの領域において広く取り扱った『ソーシャルワークにおけるスピリチュアリティとは何か―人間の根源性にもとづく援助の核心』(E. カンダ・L. D. ファーマン著、共訳)(ミネルヴァ書房、2014年12月)および、終末期ケアをめぐって書かれた『死にゆく人と共にあること―マインドフルネスによる終末期ケア』(J. ハリファックス著、共訳)(春秋社、2015年3月)において、一部の翻訳を担当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
全体の研究計画において核心となる問いの検討を大きく進め、著書の出版という形で一定の成果を上げることができた。また、2冊の翻訳という形で隣接領域から問いを深めることもでき、最終年度の研究の下地となる基盤を築くことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、文献による思想研究を中心に個人研究を進め、また事例検討など臨床実践との関わりから研究を進める計画であり、後者は共同研究を主体とするものである。その他、関連分野の欧米書籍の邦訳等にも積極的に携わるなかで、自らの研究を生かしながら、当該関連研究の内容を伝えていく作業ができればと考えている。
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Research Products
(2 results)