Research Abstract |
1. 大変形・高精度形状可変ミラーの開発 これまでに長さ100㎜, 厚さ5㎜の合成石英基板の両面に, 圧電素子を接着した構造の形状可変ミラーを開発し, 最大変形量5㎛, 変形精度2㎚PVの性能を達成していた. 今年度は, さらなる大変形が可能な形状可変ミラーの開発を目指して, これまでの構造を見直し, 圧電素子2枚を接着したバイモルフ構造の両面に0.5㎜という極薄の合成石英基板を接着した, バイモルフ形状可変ミラーを開発した. この新型形状可変ミラーにおいてFEMシミュレーションを行った結果, 最大変形量100㎛という大変形が可能であることがわかった. また, 実際に圧電素子と合成石英基板を接着して形状可変ミラーを作製した. 2. 二次元アダプティブ集光光学系の構築 2枚の形状可変ミラーを用いた二次元アダプティブ集光光学系(開発目標である4枚の形状可変ミラーによる集光システムの1段目)を構築し, SPring-8において集光実験および波面補償による形状可変ミラーの形状制御実験を行った. まず, これを遂行するために, 形状可変ミラーを高精度にアライメントできるミラーマニピュレータの開発を行った. ミラーマニピュレータを設計するためには, 許容できるアライメント誤差を知る必要がある. そこで, コンピュータシミュレーションによる波動光学計算を行い, 必要な許容アライメント誤差を検討した. 得られた結果に基づきミラーマニピュレータの設計, 作製を行った. 開発した形状可変ミラー, ミラーマニピュレータを用い, SPring-8 BL29XULにおいて集光実験を行った結果, 水平方向において半値幅65㎚, 垂直方向において半値幅110㎚の二次元集光に成功した(図1,2). この成果は, 形状可変ミラーを用いたX線二次元集光では, 世界最小となる集光径であり, すでに論文を投稿済みである. また, 2枚の形状可変ミラーを用いた水平方向集光のみの一次元二段集光実験を行った. その結果, 最終焦点において90㎚の回折限界集光を達成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画である, 大変形・高精度形状可変ミラーの開発および二次元アダプティブ集光光学系の構築に加えて, 一次元二段アダプティブ集光光学系の構築についても行い, 次年度に行う予定である二次元二段集光実験に向けて, ノウハウの蓄積や課題の抽出を行うことができ, 二段アダプティブ集光光学系の構築に向けて, 有用な知見が得られた.
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