2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J05823
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安部 元 東京大学, 医学部付属病院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 心不全 / マクロファージ / 低酸素シグナル / 炎症 |
Research Abstract |
本研究では、心臓リモデリング過程においてマクロファージ極性が重要な役割を果たしているとの仮説に基づき、心臓圧負荷モデルを用いた心臓リモデリングにおけるマクロファージ極性の役割について解析を行ってきた。心臓圧負荷手術後にM1マクロファージとM2マクロファージがそれぞれ急性期と慢性期の2相性に心臓の低酸素領域に集積することが認められた。さらに、M1マクロファージ活性化に必要なHIF-1αを骨髄球系細胞特異的に欠失したマウスでは術後急性期のM1マクロファージ集積が著明に減少するだけでなく、心重量の増大、左室収縮能の低下、心臓線維化の増強など心機能の有意な増悪、さらには生存率が低下するという結果を得た。これらのことから、急性期に心臓に集積するM1マクロファージが心保護的に作用することが明らかになってきている。マクロファージのHIF-1αシグナルが障害された心筋細胞の除去に必要であること、さらには貪食したマクロファージが心臓線維化を抑制する働きを持つことが示唆される結果を得ている。 心臓マクロファージにおいてHIF-1αが介在する役割に着目することにより、心臓のM1マクロファージが心臓リモデリング過程において心筋保護的に働くこと、そして心臓圧負荷後M1マクロファージが心筋組織の低酸素領域に浸潤し、その機能にHypoxia inducible factor 1α(HIF-1α)が必須であることを明らかにしてきた。 今後は心臓リモデリングにおいて炎症プロセスが果たす機能の解明を行うために、さらなるM1マクロファージの分泌するHIF-1α依存的心保護因子の探索を続けていく予定である。それが、今のところ治療法のない心臓線維化の改善に対する治療への新たな方法の開発につなげていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に沿って研究を行った結果、現在までおおむね順調に研究が進展していると考えられる。来年度中の雑誌への投稿を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
M1マクロファージの分泌する心筋保護因子を見つけ出し、それが実際のマウスの個体においてどのような働きを示すのかについての検討が必要と考えられ、現在その検討を行っている。 また、この病態が実際の人間のモデルにおいて、病態として当てはまる部分、そして治療の介入の可能性についての検討も今後行っていく方針である。
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Research Products
(5 results)