2013 Fiscal Year Annual Research Report
アノールトカゲにおける温度適応機構の遺伝的基盤の解明
Project/Area Number |
13J05832
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤司 寛志 東北大学, 大学院生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 温度適応 / 変温動物 / 網羅的遺伝子発現解析 / アノールトカゲ / 温暖化 |
Research Abstract |
本研究の対象種であるキューバに生息するアノールトカゲ3種(Anolis sagrei, A. homolechis, A. allogus)は、森林内の樹幹から地面という共通の活動範囲を利用しているが、それぞれ森林の開けた場所、森林縁部、そして森林の深部(順同)に生息しており、微環境間に生じている気温差にそれぞれが適応している。異なる温度環境への適応機構を解明するため、平成25年度は当該3種の生理的応答、代謝に関与する形質について研究を行った。爬虫類の代謝に関わる遺伝子は先行研究からいくつか注目されているが、どの遺伝子が異なる温度環境への適応に関与しているのかは解明されていない。本研究では、当該3種を実験室内で一定の温度環境下(26℃と33℃)で飼育した後、次世代シークエンサーを用いたトランスクリプトーム解析を行い、温度変化に応答する遺伝子の同定を行った。解析の結果、先行研究で報告されているようなエネルギー生産に関わる遺伝子のみならず、ストレス応答や細胞自体の統合性に寄与する遺伝子群が検出された。つまり、変温動物であるアノールトカゲが異なる温度環境へ適応する際には、各々が生息する温度環境下おいてエネルギー生産を効率的に行こと、さらにはそれぞれが経験する温度ストレスに適切に対処できる機構が必要であったと考えられる。今後、変温動物が温暖化によって変動する温度環境に適応できるかは、変温動物特有の代謝調節に加え、温度ストレスによる細胞への負荷を的確に緩和できるかどうかも重要な要因である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書の年次計画には、平成25年度はトランスクリプトーム解析のためのデータ取得とその解析を行うことにしており、実際にデータ解析まで終了しているため、自己点検による評価は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成25年度に行ったデータ解析の結果をもとに引き続き論文執筆に取り掛かる。現在進行中であるが、今年度中に投稿できるよう準備を進める。平成26年度は、申請書の年次計画で書いたように予定通りTRP遺伝子の活性化温度測定のために実験を進める。すでに実験にはとりかかっており、結果が出次第随時学会などで成果報告を行いながら実験、研究を進める。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Relative importance of habitat use, range expansion, and speciation in local species diversity of Anolis lizards in Cuba2013
Author(s)
Cadiz Diaz, A., N. Nagata, M. Katabuchi, L. M. Diaz, L. M. Echenique-Diaz, H. D. Akashi, T. Makino, and M. Kawata
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Journal Title
Ecosphere
Volume: 4
Pages: 1-33
DOI
Peer Reviewed
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