Research Abstract |
本年度は, 1. 多視点画像からの3次元復元のための高精度画像マッチング技術の開発, 2. 動画像を用いた高精度3次元復元の開発, 3. 汎用デジタルカメラを用いた3次元計測システムの開発を行った. 本研究では, 昨年度までに, 位相限定相関法(POC)を用いた多視点画像間のマッチングを開発しており, 従来手法に比べ高精度な3次元復元が可能であることを確認している. 本年度は, この多視点3次元復元のためのPOCに対して, ステレオ画像間の幾何補正を適用することで, さらなる高精度化を行った. そして, 公開データセットを用いた精度評価実験を通して提案手法の有効性を確認した. 精度評価では, 現在までに提案されている多視点3次元復元における画像マッチング手法を8つに分類し, それぞれの手法を比較した. 公開データセットによる評価の他に精度評価を行うために, 多視点3次元復元評価用のデータセットを作成した. 作成したデータセットによる実験により, 提案手法が幅広い対象に対して有効であることを示した. また, POCに基づく多視点画像からの3次元復元アルゴリズムの開発に向けて, ステレオ画像間の幾何補正についてだけでなく, その他の高精度化・高速化手法についても検討した, 具体的には, 画像ピラミッドを用いた階層的探索の適用, 3次元復元に適した点選択, 重み付きメディアンフィルタによるデプスマップの高精度化, 多視点画像間のマッチングにおける画像補間の影響の調査を行った. その中で, 3次元復元に適した視点選択の応用として動画像を用いた高精度3次元復元技術を開発した. また, 本年度は, 来年度計画している実用性の高い3次元復元システムを開発とその応用技術の開発に向けて, 汎用デジタルカメラを用いた3次元計測システムの開発を行った. カメラ画像の転送・3次元計測・計測結果の表示などをひとつの計算機上で実装し, カメラ画像を用いた3次元計測を自動で行えるように技術を整理した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は, 研究実施計画で記した位相限定相関法に基づく多視点画像からの3次元復元技術の確立には至らなかった. いくつかの高精度化・高速化手法については, 現在, 検討段階である. 一方で, 来年度計画していた実用性の高い3次元復元システムの実現に関する諸検討をすでに行っており, 本研究は, おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は, まず, 位相限定相関法に基づく多視点画像からの3次元復元アルゴリズムを確立する. 今年度検討した, 諸手法について, 位相限定相関に適したものとそうでないものとを取捨選択し, ひとつのアルゴリズムとして完成させる. 確立したアルゴリズムに対しては, 多視点3次元復元評価用データセットを用いて, 他のアルゴリズムと比較する. そして, 確立した3次元復元アルゴリズムをもとに, カメラ画像の入出力や, 3次元メッシュの生成などの技術と組み合わせ, カメラ画像を用いた3次元復元システムを開発する. 開発したシステムの応用として, 文化財のデジタルアーカイビングに対する応用を予定している.
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