2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内寄生菌の体内伝播を制御するトラフィッキングシステムの解析
Project/Area Number |
13J05928
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
橋野 正紀 山口大学, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細菌感染性流産 / 細胞内寄生菌 / 胎盤免疫応答 / セマフォリン |
Research Abstract |
一部の細胞内寄生菌により感染性流産が引き起こされることはよく知られているが、これらの菌の胎盤伝播様式については依然として不明な状態である。この点に関して、マウス胎盤における免疫担当細胞である栄養膜巨細胞(Trophoblast Giant Cell : TGC)とセマフォリン分子に着目し、「細胞内寄生菌の体内伝播を制御するトラフィッキングシステムの解析」に取組んでいる。2013年度は、TGCにおける産生が予測されるセマフォリン3Eに注目し、菌がどのように胎盤に感染するかについての検討を行った。Western blotting (WB)により、細胞株化されたTGCでのセマフォリン3Eの発現が認められた。また、Interferon-gamma (IFN-g)によるセマフォリン3Eの発現の増強が認められた。これまでの我々の研究において、IFN-gが菌の胎盤感染に重要な役割を有することが考えられている。そのため、IFN-gにより発現量が増加するセマフォリン3Eが、菌の胎盤感染に重要な役割を担っている可能性が考えられた。しかしながら、TGCにおける細胞内シグナル伝達については、全く不明な状態である。そこで、Mitogen-activated protein kinase (MAPK)経路に着目し、菌のTGCへの感染との関連性についての検討を行った。その結果、MAPK阻害剤処理によりTGCへの感染菌数が減少することが確認された。さらに、これまでに菌のTGCへの感染に関与することが示されているToll-like receptor 2 (TLR2)をノックダウンすることで、MAPKの活性化の減弱がWBにより確認された。以上のことから、菌のTGCへの感染には、MAPKの活性化が関連しており、さらに活性化にはTLR2の発現が要求されていることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規性の高い因子を対象としているうえ、全く不明な状態にある菌の胎盤移行メカニズムの解析に取組んでいるため、すべてが計画通りに進行したわけではないが、2013年度に得られたデータは、今後の研究における重要かつ有用な基礎データであり、これらの成果をもとに来年度以降の研究においても着実な研究の進展がなされることが期待できる。このため、「おおむね順調に進展している」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、セマフォリンに対するマクロファージの反応性についての解析を中心に研究を推進していく予定である。具体的には、セマフォリンのリコンビナント蛋白質に対するマクロファージの反応性についての解析を行う。また、セルカルチャーインサートを用いて栄養膜巨細胞に対するマクロファージの反応性についての検討を行う。この際、Interferon-gamma処理による両細胞の反応性の変化についても解析を行う予定である。上記のように2014年度は、2013年度に得られた成果を踏まえて、本研究課題において中心となる仮説についての検討を行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)