2013 Fiscal Year Annual Research Report
自己変形発現によるナノコイル形成技術を利用したナノインダクタ探針の開発
Project/Area Number |
13J05934
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
徳 悠葵 秋田大学, 工学資源学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ナノワイヤ / マイクロ/ナノコイル / マイクロ/ナノインダクタ / 金属被覆 |
Research Abstract |
1. 研究方法…独自の微小コイル形成手法「コア流動法」により作製した1巻のコイルを利用し, 通電試験を行った. これにより, 微小コイルの電磁気特性を評価した. 実験中の観察および操作の容易さを考え, 今回はマイクロコイルを用意した. 作製したサンプルには単調増加の電流を印加し, コイル両端の電位差を4端子法により計測した. なお, 通電試験はコイルが絶縁を示すまで継続し, 耐電流特性の評価も同時に行った. 2. 研究成果…コイルに通電した際の電圧-電流の関係について調べた. 実験より, 一定の印加電流値までは電圧と電流が比例関係にあるのに対し, 以降電流値の増加に伴い絶縁を確認するまで不規則な電圧上昇が見られた. 一方, 通電試験後のコイル形状には変化が認められるが, 素線や電極などの破損個所は観察できなかった. そこで, 絶縁に至った原因を調べるため, 通電試験後のコイルに対し, 元素分析を行った. 分析の結果, 陰極側では白金が顕著に検出され, 陽極側では銅および酸素が顕著に検出された. このことから, コイルの絶縁の原因は高密度電子流による原子拡散が影響していると考えられる. なお, 予備試験として白金を被覆したナノワイヤに対して500μAの定電流印加試験を行ったところ, 20分以上通電しても計測電圧に変化はみられず, 同条件であれば, 安定したインダクタの利用が可能であると考えられる. また, 以上の安定通電条件から予測されるコイルの発生磁場およびインダクタンスはそれぞれ1.01×10^<-4>Tおよび5.3pHであった. さらに, 本コイルの電気抵抗率は10^<-4>・Ωcmと既存の導電性微小コイル(例 : カーボンマイクロコイルの抵抗率0.1-10・Ω・cm)に比べ高い導電性を有していることがわかった. 以上のように, マイクロスケールの磁場発生コイルを達成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目的は, 磁場発生ナノコイルの実現である. これに対し, 本年度の研究では, マイクロスケールの1巻コイルを用いて通電実験を行い, 電磁気特性評価を行った. マイクロスケールであるものの, これは実験時のサンプル操作を容易に行うためであり, 予定通り進展している. なお, 現在の成果としては, コイルの導電性について確認し, インダクタとして利用するために必要な電磁気特性評価を理論面からまとめ, 論文掲載決定に至っている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は, 初年度に報告した微小コイルの電磁気特性評価をもとに, 原子間力顕微鏡用のカンチレバー探針にナノワイヤを巻きっけたナノインダクタ探針の開発を行う. まず, 安定して探針にナノワイヤを巻きつけ, コイル形成するために, コイル形状を制御できるパラメータの調査を行う. 具体的なパラメータとしては, ナノワイヤに被覆する膜厚を調査し, 探針の径に合わせた最適なコイル形状を作成する. また, ナノインダクタ探針の応用の際には, 電磁誘導をもとにした磁気応答により微小材料の電磁気特性評価などに役立てる予定だが, そのために作成したコイルの誘導電流についても調査していく.
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Research Products
(3 results)