Research Abstract |
本研究では, 微小スケール流れの速度場や温度場を定量的に可視化計測する手法を開発し, 吸収式ヒートポンプの吸収器内における液膜流れなど, 微小スケール流れをもつエネルギー機器の高効率化に繋げることを目的としている. このため, 3次元の温度速度同時計測を達成することを目標とし, 二色蛍光法(LIF)とPIV・PTVを融合した計測手法の開発を試みる. 微小流れ場では, 流れの代表長さが小さく, 代表速さが遅いことから, トレーサ粒子の密度制御が重要である. 本研究では, 中空のマイクロカプセルへ蛍光色素を封入することで, トレーサ粒子の作成を行う. 25年度は, 温度応答性を持つ色素の調査を行った. 二色蛍光法や粒子画像による流れ場計測は, 多岐の分野で行われているが, 技術の根幹は類似しているものの, 独自の色素が用いられ, それぞれの計測方法が発展しており, 情報が体系化されていない. また, 二色蛍光法では, 高いシグナルを得るために, 二色素の発光スペクトルが離れており, かつ, 発光スペクトルがもう一方の色素の吸収スペクトルとオーバーラップしないことが求められる. このため, 色素と励起の組み合わせを検討することが非常に重要である. 本年度は, すべての領域について詳細な文献調査を行い, 従来行われている計測法や使用蛍光色素の組み合わせ, 発光波長, 吸収波長, 励起可能なハードウェア等を調査することで, 本研究への指針を得ると同時に, 先行研究との位置づけを明確に出来るようにした. 次に, 実際に粒子を流路に流したと想定し, 画像処理プログラムを作成した. PTV計測では粒子を個々に識別し, その移動をサブピクセルオーダーで計測することが求められる. このため, 輝度値の局所的なピークから個々の粒子を識別するラベリング処理を行い, この後それぞれの局所的な輝度値パターンヘガウシアンフィッティングを行うことで, 粒子位置特定を行うアルゴリズムを作成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度までの成果をまとめて, 査読付き投稿論文を執筆し, 掲載された. また, 中空マイクロカプセルに封入可能な二色蛍光法用の蛍光物質について特性をまとめた. これにより研究背景, 国際動向や計測法に関するニーズを整理した. 画像処理技術を学び, 画像中の粒子位置の特定, サイズや発光強度の算出を自動で行うための解析プログラムを開発した. これにより今後の画像解析, データ処理を効率的かつ定量的に行う準備を整えた.
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Strategy for Future Research Activity |
論文結果に基づき, 機能性中空マイクロカプセルを合成する予定である. これに加えて, 顕微鏡視野下の3次元計測を行う. 照明された粒子の像は, レンズの被写界深度に依存して, 焦点面から離れるにつれてピンボケを伴う. 逆にこのピンボケを利用して三次元的な位置を評価する手法がデフォーカス法であり, 本研究ではデフォーカス法の適用を目指す. 粒子中の2色素の蛍光強度比は, 焦点位置からの距離が変化した場合でも物理的には一定であると考えられる. しかしながら, ピンボケなどの光学的な効果は, ある程度波長にも影響されると考えられるため, ピンボケが二色蛍光強度比に与える影響について, 実測により明らかにする.
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