2013 Fiscal Year Annual Research Report
波長走査干渉法を用いた光学素子の厚さ・表面形状・屈折率の精密測定に関する研究
Project/Area Number |
13J06013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金 亮鎮 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 光学的厚さ / 表面形状 / 波長走査干渉 / 位相シフト / 系統誤差 / 位相シフト量 / 非線形性 |
Research Abstract |
光学素子の表面形状(平坦度)・光学的厚さ・屈折率は光学システムを設計する上で非常に重要な項目である. また, 近年注目を浴びているEUV Lithography装置の中で, パターンの原版となるEUVマスクには非常に厳しい平坦度や光学的厚さ変動成分の均一さが求められている. 従来の測定技術では面計測, 優れた測定不確かさの要求条件を満たしていない. 本研究ではまず透明試料の光学的厚さの絶対値を測定するために波長走査干渉法の2つの測定手法(周波数測定, 位相シフト干渉)に相関的合致法を合わせることで始波長においての透明試料の光学的厚さの絶対値を高分解能で測定した. 相関的合致法を合わせた提案手法によって周波数測定で生じる誤差を完全に無くし, 測定不確かさを位相シフト干渉法で生じる不確かさだけに限定することに成功した. 更なる精度向上のために透明試料で生じる, 波長走査の非線形性より発生する系統誤差を補正するためのアルゴリズムを設計した. 新しく設計した3N-2アルゴリズム及び4N-3アルゴリズムは多項式の窓関数に離散フーリエ項を含めた形式となっており, サイドローブレベルが今までの位相シフトアルゴリズムよりも非常に低くなっている. 新しく設計した4N-3アルゴリズムを用いて反射率の高いLNB試料を用いて実験を行い, 周波数空間で多層試料の表面形状・光学的厚さの変動成分の測定に成功した. 4N-3アルゴリズムを用いると, 多層試料の表面形状を非常に優れた測定不確かさで測定することが可能であり, 半導体産業で要求されている測定不確かさの条件を満たせると考えられる. また, 透明試料測定以外にも, 薄膜の厚さ測定, ゲージブロックの段差高さ測定にも応用出来る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は透明試料の光学的厚さの絶対値を測定するための測定手法の研究をまとめて学術論文に投稿し, 更なる精度向上のために非線形性を補正するアルゴリズムを開発し, 国内外の学術会議に参加・論文発表を行った. この結果は当初の計画以上に進展していることであり, 今年度にも3個以上の学術論文投稿を予定している. 測定する提案手法を確立したので, 今年度はその応用研究を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度設計した3N-2アルゴリズム及び4N-3アルゴリズムは強度を3周期, 4周期走査する必要があり、強度の変動がアルゴリズムの唯一の盲点となる. 今年度は強度の変動を補正するためのアルゴリズム設計指針を示し, 現在まで行った研究を基に測定手法の応用研究を推進する. 今年度設計した4N-3アルゴリズムは反射率の高い試料の測定が可能であり, また相関的合致法を合わせて用いることによって光学的厚さをナノメーターオーダーの測定不確かさを有しながら測定することが可能となる. 最初の応用研究として半導体産業全般で幅広く用いられている薄膜の厚さ及び表面形状の研究を行う予定である. 二つ目の応用研究としてはゲージブロックの段差高さを測定し, 製作されたゲージブロックの評価を行う予定である.
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Research Products
(4 results)