2013 Fiscal Year Annual Research Report
ラマン分光法によるAlzheimer病凝集タンパク質の定量的測定技術の開発
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13J06016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長島 優 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-26 – 2016-03-31
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Keywords | アミロイドβ / ラマン分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 指紋領域振動スペクトル測定系の開発:自作の自発ラマン散乱顕微鏡を製作した.488nmの連続波レーザーを対物レンズで試料に集光し,試料からの反射光からdichroic mirrorとlong pass filterを用いて光源波長を除去したのちに,分光器で散乱光のスペクトルを観測する.試料は自動XYステージの上に載せ,ラスタースキャンによる画像取得ができるようにした. 488nm光源波長を用いた測定系のスペクトルはまだS/N比が悪く,測定感度を上げるために,光源レーザーのパワーを上げる改造や,フィルターの特性を最適化する作業を行っている. 2. 凝集タンパク質の振動スペクトル測定とデータベースの構築:in vitroでアミロイドβ42ペプチド(Aβ42)をincubationすることによりアミロイドβ凝集体を生成する系を新たに立ち上げた.このin vitroで生成したアミロイドβ凝集体について自発ラマン顕微分光装置を用いた振動スペクトル測定を行った.その結果,アミロイドβ凝集体が特徴的なスペクトル波形によって二種類に分類できることや,凝集体内の特定部位にのみ局在する分子振動の存在を発見した.これはアミロイドβ凝集体内部の化学結合組成に空間的な不均質性が存在することを示しており,従来,概念的に一通りの存在として扱われてきたタンパク質凝集体が,実際には複数の状態の間を遷移するダイナミックな存在である可能性を示唆している. ここで測定した振動スペクトルに認められるラマンシフトは,理論的にはアミロイドβタンパク質の分子内の化学結合に一対一対応するはずである.測定したラマンシフトに対応する化学結合および分子振動を推定するには,量子化学計算を用いた振動解析を行う必要がある.そこで,市販の量子化学計算パッケージであるGaussianを組み込んだラマンスペクトルの理論予測ソフトウェアをPython言語およびC言語を用いて自作した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アミロイドβのin vitroでのタンパク質凝集体について、非染色・非標識でのラマンスペクトル測定を成功させ、分子特異的な振動スペクトルのデータベースを構築した。 新たに測定のための振動スペクトル測定装置開発を並行して進めているが、2014年3月時点では、稼動が少し遅れていた。
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Strategy for Future Research Activity |
ラマン分光装置を完成させる。 培養細胞と脳組織中の振動スペクトル測定技術、測定系を構築していく。
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Research Products
(6 results)