2013 Fiscal Year Annual Research Report
近代イスラームにおける国際法理解-アブドゥルカーディルと19世紀世界-
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13J06024
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
所 木綿子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | イスラーム学 / アルジェリア / 国際関係 / 政治哲学 |
Research Abstract |
本研究は19世紀北アフリカのアルジェリアにおいて、フランス植民地軍に対する武装闘争であるジハードを指導し、思想探求者としても知られる、アミール・アブドゥルカーディル・ジャザーイリー(Amīr 'Abd al-Qādir al-Jază' irī, 1807-1883、以下アブドゥルカーディル)の思想について、彼の準拠していた国際法としての側面を以下の点から明らかにすることを目的とした。①異教徒との対立、調停におけるイスラーム法の役割、イスラームにおいて言及されてきた社会秩序について、政治哲学、国家思想の側面からアブドゥルカーディルの思想における法の役割について②彼の著作で述べられているイスラーム法と関連する概念について他のイスラーム学者との見解の共通点と差異について分析することで、彼の思想の位置づけについて。 ①1844年隣国モロッコがフランスとの戦争に敗北した結果を受け、アブドゥルカーディルに対するモロッコの態度が援助から敵対に転じた事例、イスラーム国家と非イスラーム国家との間に締結された和平の是非に焦点を当てて検討を行った。このときアブドゥルカーディルは自らのジハードの遂行を妨げる、和平の是非について、エジプトの法学者ムハンマド・イライシュに法的判断を仰いだ。それによるとモロッコが住民の安全上必要不可欠であるとして和平を締結したことは、受け入れざるを得ないものであった。したがってアブドゥルカーディルの法的判断とは、ジハードの必要性を最大限主張し、その指導者である自らの立場をも主張したといえ、戦闘の劣勢によりジハードより和平が優先される事態を食い止めきれるものではなかったといえる。 ②アブドゥルカーディルの主張は、伝統的なイスラームのマーリキー学派、シャアフィイー学派の見解に依拠し、とくに北アフリカの法学者によって多く参照され、スペインの「国土回復運動」の渦中にあった15世紀の法学者、ワンシャリースィーの議論を土台としていることが今回注目された。彼の議論のイスラームと異教徒との関係をアブドゥルカーディルがどのように再考してきたのか、彼に至る思想の歴史の実態とはどのようであったのか今後も検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の研究結果については、口頭発表の形で何回か発表を行ったものの、論文として発表するまでに至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今年度明らかにしきれなかった箇所をもう一度問い直す作業を行うとともに、対外勢力であるフランスとの戦争、交渉、和平締結を行うに至ったアブドゥルカーディルの政治的立場を考えるうえで、在地勢力との関係性についての研究も進めていく。これを従来の研究の成果と関連付けたうえで、論文形式での発表を行う。
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Research Products
(4 results)