2013 Fiscal Year Annual Research Report
安全な食品ナノマテリアルの創製に資するナノ安全科学研究
Project/Area Number |
13J06057
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三里 一貴 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 食品ナノマテリアル / ナノシリカ / 一般毒性 / 体内動態 |
Research Abstract |
当申請課題では、既に食品添加物として汎用されている様々な物性(形状・素材・粒子径など)の食品ナノマテリアル(食品NM)を対象に、経口曝露時の体内吸収性・体内動態を初めとした曝露実態の定性/定量的解析および生体影響について解析し、安心・安全な食品NMの創製に向けた情報を収集する。 当該年度は、ナノシリカを対象素材とし、経口曝露時の一般毒性(①)・体内動態(②)を評価した。①マウスに各シリカ(nSP30、nSP300、mSP1000)を投与し、マウス体重、血液生化学検査、血液検査、病理解析を評価した。その結果、水を投与したコントロールマウスと比較して、各シリカ投与群で有意な体重、血液生化学検査、血液検査、病理解析の変化は認められなかった。②各シリカを28日間連続で経口投与し、その時の体内吸収性を評価した。まず、各シリカを用い、経口投与時の体内吸収性を定性的に評価した。マウス臓器を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、nSPIOOOは、肝臓、脾臓、腸管膜リンパ節において観察され、nSP300、nSP30は、肝臓、脾臓、腸管膜リンパ節およびバイエル板において観察された。なお、TEMで観察された黒いドットがシリカであることを確認するため、エネルギー分散型X線分光法を用いて先行的にnSP30を投与したマウス臓器の元素分析を実施した。その結果、黒いドットでSiのシグナルが検出された。このため、観察された黒いドットがシリカであることが明らかとなった。従って、今回用いたシリカはその粒子径に関わらず、腸管から体内に吸収されることが明らかとなった。上記のように、本検討では経口投与したマウスの体重、血液生化学検査、血球検査、病理解析(胃、小腸、肝臓、腎臓)に関して、異常は認められなかったことを見出すなど、安心・安全な食品ナノマテリアルの創製に資する情報を収集した。また、ナノシリカ経口投与による一般毒性のみならず経口投与後のナノシリカの体内動態に関しても一部情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、ナノシリカを対象素材とし、経口曝露時の一般毒性・体内動態を評価した。その結果、本検討では、経口投与したマウスの体重、血液生化学検査、血球検査、病理解析(胃、小腸、肝臓、腎臓)に関して、異常は認められなかったことを見出すなど、安心・安全な食品ナノマテリアルの創製に資する情報を収集した。また、透過型電子顕微鏡やエネルギー分散型X線分光法を用いてシリカの体内動態を評価した結果、一部の臓器において、丸いドットが観察され、シリカであることを確認した。このように、当該年度は、おおむね当初計画していた通りに研究を進めることができていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
各食品NM(ナノ白金、ナノ銀等)経口投与後、主要臓器、血液、糞便、尿を回収し、体内吸収性、移行重をICP-MSを用いて定量的に解析することにより、体内動態に関して解析を行う。また、経口投与したマウスの生体影響を明らかにするため、食品NMの単回曝露・慢性曝露などを加味し、一般所見、生存率、体重変化、血液生化学マーカー、病理学的所見、血液成分等を指標とした一般毒性学的解析を行う。なお、曝露実態(体内吸収性・体内動態)の解析結果に応じて、適宜対象とする臓器は変更・追加して検討を行う。既に予備的検討から移行が確認できている臓器(肝臓・腎臓など)に関しては、in vivoでの解析と共に、in vitroでの細胞レベルでの影響解析(細胞機能への影響および細胞内動態など)も実施する。
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Research Products
(3 results)