2013 Fiscal Year Annual Research Report
ユース・サブカルチャーズから見た社会変容~ギャル・ギャル男の社会化を中心に~
Project/Area Number |
13J06069
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
荒井 悠介 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ユース・サブカルチャーズ / ギャル / ギャル男 / イベサー / カルチュラルスタディーズ / 社会化 / 卒業儀礼 / サブカルチャーキャピタル |
Research Abstract |
平成25年度は、ギャル・ギャル男を中心としたユース・サブカルチャーズ「イベサー」のメンバーとその引退者、彼らをとりまくメディアの情報に対する調査・研究を行った。 先行研究では日本のユース・サブカルチャーズは卒業儀礼を経て、不道徳性のある価値観とライフスタイルを卒業し、結婚と労働を軸とした道徳的で安定したライフコースに入ると述べられてきた。 研究代表者は、彼らの不道徳性の中に含まれるサブカルチャーキャピタルを細分化し詳細な検証を行った。暴力および、反社会性に関する文化資本に関してはAsian Studies Conference Japanにて。脱社会的な文化資本に関してはJapanese Studies Association of Australiaにて。異性愛の利用を中心とする文化資本およびメディアと彼らとの関わり等に関してはlnter-Asia Cultural Studiesにて、それぞれ知見をまとめ発表した。また、総合的知見および背景の社会との関わりに関する知見は、カルチュラルスタディーズ学会の論文として出版した。以上の研究を通じ、彼らは不道徳性を含むサブカルチャーキャピタルを実際の社会で役立つものと見なすため、形式的な卒業の儀礼を経ても一般経済社会において持続させて使用し、関連するライフスタイルを続けることが明らかになった。 また背景として、本研究の対象者達と現在の日本社会の間には、互恵関係が存在していることを明らかにした。同時にこの互恵関係による経済的な成功体験とアイデンティティの充足が、彼らが卒業儀礼後も継続して不道徳性を含むサブカルチャーキャピタルを持続させる要因となっていること。そのような互恵関係ゆえに彼らおよび社会が抱えるリスクが相互隠蔽される構造を明らかにした。 そしてこれらの研究を通じて得た研究手法上の知見に関しては、日本社会学会にて発表した。以上が成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、日本のユース・サブカルチャーズの卒業の概念が形骸化している状況の実態把握、その背景にある社会との間の互恵関係、そこに潜む負の側面の分析、以上の三点を明らかにすることを目的とした。この目的を達成し、国内外の査読付き学会発表、論文にて発表、公刊した。さらに平成26年度の予定であった、異なる世代の実態の比較研究も概ね完了し、査読付き国際学会での発表も決定している。また研究過程で得た調査手法上の知見も査読付き学会発表で発表を行った。以上の理由により当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、ギャル・ギャル男を中心としたユース・サブカルチャーズ「イベサー」のメンバーとその引退者を対象とし、それぞれ異なる世代の比較研究を行い、経時的実態を把握し、相違点の分析を行う。それにより、ユース・サブカルチャーズの普遍的な要素と、変化した要素、そしてその背景にある社会と社会規範の変容を明らかにする。そしてこの内容に関する学会発表を行い、平成25年度の研究で得られた知見と合わせた研究成果を、論文の形にまとめあげ投稿する。
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Research Products
(5 results)