2014 Fiscal Year Annual Research Report
危機言語の維持・再活性化と言語名、言語意識-「フランコプロヴァンス語」を巡って
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13J06070
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
佐野 彩 一橋大学, 言語社会研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 危機・少数言語 / 言語維持・再活性化 / 言語意識の変化・多様性 / 言語の名称・呼称 / フランコプロヴァンス語(アルピタン語) / パトワ / 知識と実感のずれ / 言語純粋主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヨーロッパの危機・少数言語の一つであるフランコプロヴァンス語について、言語に言及する際に用いられる複数の言語名に着目して、この言語に対する言語意識を調査し、言語に与える名称と言語意識が危機・少数言語の維持・再活性化に及ぼす影響を考察するものである。 平成26年度は主に次の二つの研究活動を行った。 1)フランコプロヴァンス語圏でのフィールドワーク 4月から9月まで、言語動態学研究所(CNRS/リュミエール・リヨン第2大学)に訪問研究員として滞在し(平成25年度から継続)、フランスに含まれる地域を中心に、イタリア、スイスを含むフランコプロヴァンス語圏全体で調査を実施した。また、平成27年2月から3月にも渡欧し、フランスのサヴォワ地方を中心に調査を行った。フィールドワークでは、延べ132名にインタビューを実施したほか、言語団体の活動の観察や資料収集を行い、十分なデータを得ることができた。 2)データの分析及び研究成果の発表 2件の学会発表を行い、フランスのリヨネ地方とブレス地方のデータに基づき、次の点を実証的に示した。フランコプロヴァンス語に対する言語意識には変化と多様性が見られ、言語運動の進展の背景には言語意識の社会的肯定化があった。また、長らく村や地方などの限られた地域の「パトワ」とみなされてきた言語が「フランコプロヴァンス語」という国・地方を越える言語であったことは人々の言語観を変え、運動を後押しすると捉えられていた。しかし、他の地域変種に触れる機会の少なさから、実感としては「パトワ」意識が継続していることが多く、各地の運動が一体性を持つことの難しさが示された。また、地方の伝統の一部としての「パトワ」の再評価は過去の姿に固定化された言語観を生み、言語再活性化の妨げになり得ることも明らかになった。これらの点を軸に他の地方のデータも含めて総合的に考察し、研究を完成させる。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)