2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J06088
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 崇人 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 素粒子実験 / 放射線放出器 / 中性子 / 寿命測定 |
Research Abstract |
3年後に0(0.1%)精度の中性子寿命導出を計画しており、初年度である25年度はビームタイムを迎え、解析を実装しこの時点での統計誤差の限界である0(1%)の測定値を導出、その結果を検出器や解析にフィードバックする事を目標としていた。 本実験を行うにあたって、検出器のコミッショニング・性能評価のために組まれたデータ収集システムを更新し、データのクロスチェックが可能なシステムの構築に取り組んだ。回路の設計・専用モジュールの発注・導入を行い構築したが、諸般の事情により、J-PARCの中性子ビームを中長期的に使用できない状況に見舞われた。そこで、低統計ではあるが2012年の検出器コミッショニングのデータに対し解析を行った。 解析中にこれまでに想定していなかったイベントが見つかった。検出器のガスに散乱された中性子が検出器の部材にあたるとγ線をはじめとするバックグラウンド事象を発生させる。そのため、検出器内側に6Liを含むテフロン(PTFE)板を入れる事で防いでいる。α線等が発生するがさらに内側に貼ったPTFEシートで比較的容易に止めることができる。しかしPTFEシートの齟齬により検出器内部に入り込み中性子フラックスを過大評価している。このことは既に知られていたが、今回の解析により中性子β崩壊の計数を過大評価するイベントをも発生させていることがわかり、検出器の改善が必要であることを示した。また、それらのα粒子を特徴付けるパラメータを見つけ、今後同様の事例が発生してもすぐに検知することができるようになった。 このα線等を解析から除き寿命を導出したところ、統計誤差の20%の範囲で、現在の世界平均値と同等の値を得た。この精度で現在仮定しているバックグラウンド評価手法をはじめとする解析手法が正しいことがわかり、更なるデータ取得と解析が望まれる状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
施設停止に伴い、中性子ビームを用いた実験は行う事ができなかったがコミッショニングデータを用いた解析フレームワークの構築、検出器の修繕箇所の洗い出し等が進み、今後の解析の速度やデータの質の向上が期待されるため、おおむね順調と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
検出器の改善を行い、中性子を導入した測定を行う。そのデータを解析するとともに、髙統計化のためのビームライン及び検出器の改造に着手する。
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[Presentation] J-PARCにおける中性子寿命測定実験 : 測定状況と解析及び結果2013
Author(s)
山田崇人, 片山領, 横山晴道, 角野浩史, 三島賢二, 山下了, 音野瑛俊, 田中元気, 吉岡瑞樹, 榊原理紗, 杉野智昭, 北口正暁, 広田克也, 清水裕彦, 生出秀行, 猪野隆, 竹谷薫, 酒井健二, 嶋達志, 日野正裕, 関義親
Organizer
日本物理学会2013年秋季大会
Place of Presentation
高知大学(高知県)
Year and Date
2013-09-23
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