2013 Fiscal Year Annual Research Report
肥満における生体内脂質過酸化の亢進と食品成分による予防
Project/Area Number |
13J06103
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 隼哉 東北大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 過酸化脂質 / 酸化ストレス / メタボリックシンドローム / 肥満 / 胎児プログラミング / CL-HPLC / PCOOH / 妊娠・授乳期 |
Research Abstract |
本研究課題「肥満における生体内脂質過酸化の亢進と食品成分による予防」では、妊娠・授乳期における母親の高エネルギー食摂取が子供の肥満を介して、動脈硬化症の発症リスクに与える影響を、体内の酸化ストレス解析に重点を置きながら明らかにすることを目的としている。酸化ストレスは生体内の脂質過酸化を亢進させ、肥満をはじめとしたメタボリックシンドロームひいては動脈硬化症の発症・進展に大きな影響を与えることが考えられるが、明らかにした報告はない。そこで本年度は、母親の栄養状態が子供の生体内脂質過酸化に与える影響をマウスを用いて検討した。 試験にはC57BL/6Jマウスを用い、母マウスが妊娠・授乳期に普通食を摂取する群と妊娠・授乳期に高脂肪食を摂取する群に分けた。仔マウスは離乳時である3週齢(infant)と11週齢(adult)で屠殺し、生体内の過酸化脂質濃度を測定した。また、肝臓と血液の脂質組成、肝臓における抗酸化関連分子の遺伝子発現量を測定した。その結果、妊娠・授乳期の両期間にわたり母マウスに高脂肪食を与えると、仔マウスの肝臓過酸化脂質濃度が増加した。さらに、肝臓の脂質濃度も同様に増加し、脂肪肝の発症リスクが増加することが示唆された。一方で血中の脂質組成に大差はなかった。また、仔マウスのメタポリックシンドローム様症状の亢進に伴い、肝臓の抗酸化関連遺伝子の発現量が減少した。以上より、妊娠・授乳期における母親の高脂肪食摂取によって仔マウスの生体内脂質過酸化が亢進することが明らかとなった。このことから、仔マウスの成長後にけるメタボリックシンドローム発症リスクの増大に生体内脂質過酸化が関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
妊娠・授乳期における母親の過剰栄養状態による子供の生体内脂質過酸化とメタボリックシンドローム発症リスクの増加を検討できた。さらに、メタボリックシンドロームの進展に伴う生体内の脂質過酸化の亢進メカニズムを遺伝子発現の変化から推定し、現在、投稿論文を作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
肥満をはじめとしたメタボリックシンドロームの発症・進行と酸化ストレスによる生体内脂質過酸化の関連をさらに詳細に検討する。その際に、研究計画では想定していなかったが、酸化ストレスによって生じる過酸化脂質の種類を解析する必要が感じられた。今後は過酸化脂質の種類にも着目をし、メタボリックシンドロームと脂質過酸化の関係を解明することを目指す。
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Research Products
(6 results)