2013 Fiscal Year Annual Research Report
キイロショウジョウバエの求愛行動における意思決定機構の電気生理学的解析
Project/Area Number |
13J06113
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 早也佳 東北大学, 大学院生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | キイロショウジョウバエ / 求愛行動 / 意思決定機構 / GAL4/UASシステム / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
本研究は、キイロショウジョウバエのオスの中枢神経系において求愛行動に関わる神経回路の全容究明を目指し、求愛意思決定の細胞・分子メカニズムを、単一遺伝子、単一細胞の操作を通じて解明しようとするものである。本研究では単一細胞レベルでシナプス活動を計測することで、異なる種類の感覚入力の情報が統合され、特定の行動が選択される細胞メカニズムを明らかにする。 求愛行動の意思決定機構を明らかにするため、GAL4/UASシステムを利用しfru発現ニューロン、特に求愛行動の開始の司令ニューロンであるP1クラスターニューロンに特異的にGFPを発現させ、クラスター内の単一のニューロンから全細胞電流記録を行うことを目指した。記録中のオス個体に求愛行動の解発刺激、抑制刺激、求愛行動に関与しない刺激などを与え、それぞれの場合のシナプス後電流を観察する。記録後、細胞に色素注入を行い、組織学的なニューロンの形態観察を行う。ニューロン一つ一つについて、形態観察と活動記録を同時に行うことでP1クラスター中の個々のニューロンの詳細な性質を解明する。 しかし、行動中の個体の脳から単一ニューロンの全細胞電流記録を行うのは、技術的に非常に困難である。そのため、求愛行動中のオス個体の脳のP1ニューロン、あるいはこれに接続するfru発現ニューロンにパッチクランプ法を適用し細胞内電気活動を記録する実験の前段階の実験として、摘出脳での単一ニューロンにおけるパッチクランプ法による全細胞電流記録を行っている。長時間にわたって電流記録が可能となる条件を模索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は行動中の個体の脳からの生理学的記録の準備段階の実験として、摘出脳でのパッチクランプ法による全細胞電流記録実験を行っている。脳の固定やニューロンの同定に問題があり、十分な生理学的応答の記録には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き摘出脳でのパッチクランプ法による全細胞電流記録実験を行い、長時間にわたって生理学的応答が記録できる実験条件を探り、摘出脳での記録に成功し次第、求愛行動中のオス個体の脳での生理学的応答記録実験に着手し、求愛行動の開始の司令ニューロンであるP1クラスターニューロンやに接続するfru発現ニューロンにパッチクランプ法を適用し細胞内電気活動を記録する。
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