2013 Fiscal Year Annual Research Report
離散選択モデルのセミパラメトリック、ノンパラメトリック推定と検定
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13J06130
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩澤 政宗 京都大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 多項選択モデル / 特定化検定 / パラメトリックブートストラップ / 離散選択モデル |
Research Abstract |
多項選択モデルは被説明変数が離散変数である場合の分析手法である。モデルに線形性や誤差項の分布を仮定することで簡単に推定ができるため、様々な分野において頻繁に応用されている。しかし、これらの仮定が正しくない場合、或は、真のモデルをうまく近似しない場合には、このモデルから得られる推定結果は誤った解釈を与えてしまう。そこで、モデルの仮定の妥当性を統計的検定によって確かめることが有用となる。先行研究では、二項選択モデル(被説明変数が2つの値をのみをとるモデル)の場合に適用できる検定方法がいくつか提案されている。しかし、3つ以上の値をとる場合にモデルの仮定を同時に検定する方法は考えられていなかった。そこで、説明変数が3つ以上の値をとる場合に、ノンパラメトリックな推定方法を用いてモデルの仮定を同時に検定する方法を提案し、その漸近的な性質を明らかにした。また、標本の数が小さい場合にはパラメトリックブートストラップにより検定統計量の分布を近似し棄却域が得られる事を示した。モンテカルロシミュレーションによって検定統計量の諸性質を検証し、標本の数が小さい場合にも有用であることを確かめた。 もう一つの研究として琶木規模家計調査のミクロデータを用いた実証分析を行った。この研究ではサンプルセレクション問題に、多項選択モデルの一つである多項ロジットモデルを用いた方法で対処した。今後、上で提案した方法をこの実証分析で応用し、ここで置いたモデルの仮定の妥当性を検定する。これにより、この検定の利便性を確かめると同時に、実証分析への応用上での問題点や改善点を露呈させ、改善につなげられると考えられる。また、この実証分析を通して、離散選択モデルの有用性を再確認するだけでなく、次の研究課題になりそうな実務上の問題点や、疑問点を知る事ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究の目的に添って着実に研究を進める事ができた。研究の内容としては当初の計画以上に達成できたが、計画していた学会誌への投稿は今後の課題として残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
提案した多項選択モデルの特定化検定を実証分析で応用し、実用上の利便性を確かめる。応用上の問題があれば改善案を考察する。 また、近年では大規模データに関心が集まっている。そこで、先行研究やこれまでの私の研究を踏まえて、一般的な枠組みではなく、大規模データの分析に適した推定や検定方法を考察する。
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Research Products
(4 results)