2015 Fiscal Year Annual Research Report
フランスの困難地域における包括型生活支援の成立条件
Project/Area Number |
13J06131
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
徳光 直子 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フランス / 治安維持 / 社会福祉 / 社会的紐帯 / フィールドワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「フランスの困難地域における包括型生活支援の成立条件」を解明することである。平成27年度は、包括型生活支援を行う社会的仲介活動実践者(以下、仲介者)に対する半構造化インタビュー、活動日誌の分析、日本における事例との比較研究を行った。その結果、以下の3点が明らかになった。 第1に、ソーシャルワーカーと仲介者の目的の違いである。仲介活動の支援対象者は前科のある若者、言語面での問題を抱えた移民出身者、隣人問題を抱える者が主であるが、その支援は専門機関との関係性構築に留まる。つまり、被支援者の生活改善ではなく、彼らの社会的孤立を防止することに主眼を置いている。この「関係性構築の支援」の背景には社会的孤立が犯罪不安の原因を作るという考えがあることが確認できた。なお、仲介者が知り得た情報は行政機関に定期的に報告されている。第2に、低賃金住宅管理会社とのネットワークについてである。包括型生活支援を実施している地域では、低賃金住宅管理会社との信頼関係が構築されており、仲介者が建物内での騒音問題に対処することを可能にしている。仲介者の介入を要請する住民の中には、騒音を建前に仲介者との会話を目的としている者も多い。それによって貧困や虐待、健康問題等の発見につながっていることが確認できた。第3に、内と外の違いである。包括型生活支援を行う団体は他の地域に比べ、犯罪不安を地域内の問題と捉え、被支援者と経験を共有する傾向がある。また、社会的統合を求める傾向が少ないことも確認できた。
日本では犯罪不安に対し、世代間交流の増加や地域コミュニティの絆を強化する試みが見られる。フランスの場合、犯罪不安は住民と公権力の乖離に原因があると考えられている。包括型生活支援が構築する「社会的紐帯」は多種多様な者を包摂する一方、行政機関による生活困難地域の監視という側面が含まれているということが確認できた。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)
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[Book] Jeunesse de rue. Representations, pratiques, et reactions sociales.2016
Author(s)
Janie Adge, Sofiane Ailane, Serena Cello, Konstantinos Delimitsos, Perrine Devleeshouwer, Thierry Dominici, Marie Dos Santos, Maryse Esterle, Alice Gaia, Gerard Mauger, Marie Peretti-Ndiaye, Delphine Pietu, David Puaud, Vianney Schlegel, Naoko Tokumitsu, Alain Vulbeau
Total Pages
354
Publisher
L’Harmattan