2013 Fiscal Year Annual Research Report
中性子検出用リチウムアルミネート結晶シンチレータの開発
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13J06185
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤本 裕 九州工業大学, 若手研究者フロンティア研究アカデミー, 特別研究員(PD)
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Keywords | 結晶 / シンチレータ / 中性子 |
Research Abstract |
本研究では、セキュリティ機器や資源探査時の検層装置に組み込まれている中性子検出器の高まる需要と従来技術の3ヘリウム代替材料の課題を考慮して、新しい中性子検出用の6リチウム含有型シンチレータ結晶の探索を行っている。本研究で特に着目したのが、リチウム元素を含有し、バックグラウンド源となるガンマ線に対して低感度であることが期待されるリチウムアルミネー・トLiAlO_2結晶である。当該年度においては、μ-PD法により希土類元素や遷移金属元素などを単一もしくは複数微量添加した際の基礎的な光学及びシンチレーション特性を系統的に調査した。粉末X線回折評価より、作製されたサンプルはすべて単相であり、不純物相などは確認されなかった。また、へき開性や潮解性も見られなかった。光学特性評価においては、80%以上の高い透明性を確認し、また、発光特性においては遷移金属元素であるTiやCu、Mnを添加したサンプルにおいて光励起及び放射線励起時に強い発光を示していた。一方で、希土類元素を添加したサンプルにおいては発光が見られないことから、イオン半径の大きな違いにより、希土類元素が結晶中に固溶出来なかったことが推測される。上記遷移金属元素を添加したサンプルについて、中性子照射時の波高値スペクトル測定により発光量を見積もった結果、TiやCuを添加したサンプルは、サンゴバン社製のリチウムガラスシンチレータを上回る性能を示していた。具体的には、リチウムガラスシンチレータが約6000 photons/neutronであるのに対して、当該シンチレータは7000-10000 photons/neutronと非常に高い発光量を示していた。これまでリチウムを含有した酸化物シンチレータは数多く検討されてきたが、当該シンチレータのように優れた性能を示すものは報告されていないことから、新しい中性子シンチレータ材料の開発におけるデザインルールに貢献できることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今回報告したシンチレータは発光中心である遷移金属元素の濃度やホスト結晶組成の最適化を行っていない早い段階で、市販品であるリチウムガラスシンチレータを上回る性能が確認されており、さらなる性能向上が期待できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
更なる性能向上のために、発光中心元素濃度及びホスト結晶組成の最適化を検討する。また、ガンマ線に対する感度の評価やデバイス応用を想定した大口径化の可能性を模索する。
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Research Products
(7 results)