2013 Fiscal Year Annual Research Report
通常兵器の使用を規制する国際法の機能的変化に関する研究
Project/Area Number |
13J06213
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仲宗根 卓 大阪大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 武力粉争法 / 国際法 / 通常兵器 |
Research Abstract |
本年度の課題は、各論点を個別的に分析することであった。結果は以下のとおりである。 1. ウェポンズ・ローと相互運用性条項 : 相互運用性条項導入の法的意義について、クラスター弾に関する条約第21条を素材にして研究を行った。同条の文言解釈及び採択経緯の分析の結果、相互運用性条項は必ずしも必要ではないという結論に達した。分析結果をまとめた論文を平成24年度中に学術雑誌に投稿し、翌年に公表された。また、平成25年7月に国内のフォーラムで報告も行った。近年、異なる武力紛争法上の義務を負う国家が共同軍事行動を行う事例が増加し、軍事同盟国間の相互運用性が法的に問題になる場面が生じることが予測されることから、本研究成果は、かかる問題の対処指針となろう。 2. ウェポンズ・ローと相互主義 : 対人地雷禁止条約等のいわゆる「ハイブリッド条約」は、厳格な規制及び軍縮的措置等の導入により、従来のウェポンズ・ローとは異なる、相互主義を基盤としない条約義務の履行確保制度を確立させたが、それらが兵器使用禁止義務の履行を効果的に確保するものではないことを明らかにした。他方で、ウェポンズ・ローの適用及び履行確保が、相互主義から完全に脱却していないことも明らかにした。分析結果は、平成26年度中に出版予定の論文集に掲載される予定である。本分析は、武力紛争法の相互主義からの脱却可能性をめぐる議論に一石を投じるものである。 3. ウェポンズ・ローと非国際的武力紛争 : ウェポンズ・ローが非国際的武力紛争へ適用されるようになると、武力紛争法、国際人権法、及び国内法という、致死力の行使(兵器の使用)基準が異なる複数の法規範が重畳的に適用されるようになる。このような事態からいかなる問題が生じるのかについて、その分析に着手したが、平成25年度中に結論を導き出すことができなかった。平成26年度の早い段階で論文にまとめ、学術誌に投稿する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、平成25年度中に、上記9の3で述べた研究を完了し、かつ、これまで個別に分析してきた各論点の総合的分析を終える予定であったが、叶わなかった。従って、評価は③の「やや遅れている」が妥当であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に完了させることのできなかった論点は、平成26年度の早い段階で分析を終える。その後、平成26年度に予定している研究に速やかに着手し、引き続き、研究成果を学術雑誌で公表し、及び学会で報告するように勤める(積極的に寄稿、及び応募する)。また、論文の執筆と並行して、必要な資料を国内外で収集する。
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Research Products
(2 results)