2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J06215
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井下 智加 大阪大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 散乱光解析 / 表下散乱 / 画像復元 / コンピュータグラフィックス |
Research Abstract |
本研究で目指すのは, 実環境中において光が散乱することにより視認性が低下してしまう現象に対し, 散乱光のふるまいに基づいて画像を鮮明化することである。初年度においては, 散乱媒体における散乱光の計測・解析に焦点を当て, 光学特性の異なる散乱物体を用いてそれぞれの境界面における散乱光の特性を考察した。また, この結果に基づき散乱光の近似モデル及び画像の鮮明化についての検討を行った。 1. 散乱光の計測及び解析 散乱媒体中の光の伝播においては, 散乱特性が変化する境界面でのふるまいが問題となる。そこで, まず散乱物体表面における光の伝播を対象として散乱光の計測及び解析を行った。散乱光を正確に計測するには光の入射方向・入射位置・出射方向・出射位置の全てを変化させる必要があるが, プロジェクタと鏡を用いた既存の計測システムにより効率的なデータ取得を実現した。散乱光の解析においては, 計測したデータに対し光の入射方向や位置を変化させながら可視化した散乱光を比較することで, 光学的特性に対する散乱光の特徴を明らかにした。また, 計測された散乱光の明るさを光の出射方向に関して解析することで指向性を持つ散乱成分と, 指向性が失われた散乱成分を分離できることを示し, 各成分の割合や広がりから光学的特性を推定できることを明らかにした。 2. 散乱光のモデルおよび画像の鮮明化手法の検討 既存の物理学の知見による散乱光のモデルについて, 実際に計測・解析した散乱光によるモデルの評価を行った。また, 光学的に濃い媒体における散乱光においては, 画像のボケと対応付けたモデルを適用できると仮定し, その妥当性及び画像の鮮明化手法への発展について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
散乱光の計測及び解析については, 計測に既存の装置を利用したことで散乱光の解析に注力することができ, 早期に研究成果として発表することができた。その一方で, 散乱光のモデルの検討については散乱光のシミュレーションにおける計算コストが高いため, 解析に時間がかかっている。これについては計算機サーバーの利用やアルゴリズムの工夫により時間の短縮を図っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在検討している光学的に濃い媒体における散乱光の近似モデルに基づき, 画像の鮮明化手法を構築する。また, 他の光学特性における散乱光についても同様の検討を行い, さまざまな散乱媒体に適用できる鮮明化手法への拡張を目指す。
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Research Products
(4 results)