2013 Fiscal Year Annual Research Report
21世紀の植民地主義―ハワイ、ディエゴ・ガルシアを事例に―
Project/Area Number |
13J06250
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大城 尚子 大阪大学, 国際公共政策研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 植民地主義 / 米軍基地問題 / ディエゴ・ガルシア / 英米特別な関係 / 民主主義 / 自己決定(権) |
Research Abstract |
本研究の第1年度計画は、①植民地主義の問題が取り上げられた国際会議ならびに国際機関の文書を通して現在の植民地主義の概要を把握し、②本研究が着目する周辺化された人々の自己決定権の行使が阻害されているかを判例や国内政策を通して特定すること、③軍事基地問題に直面し、かつ国家の「安全保障」政策によって自己決定(権)が阻害されているといわれているハワイ人の聞き取り調査を行うことであった。 まず、国際機関の文書や2001年以降の国際社会の動向を通して、植民地主義の概要を把握することに努めた。また2001年以降の国際社会において「民主主義」に価値が置かれ、非民主主義国家への民主化支援が行われることで、民主主義が現代世界において「文明化」の一つの指標となっているという議論から現代の植民地主義の概念と結びつけ概念の構築を行った。 次に、この議論を国内のシステムに当てはめ検証を行うため、特に国家の「安全保障」政策によって犠牲になる人々に着目し、文献や資料を通して問題を整理した。1年目は、ハワイを事例に検証することを計画していたが、ディエゴ・ガルシアの米軍基地の使用期限が2016年に迫り、2014年に同協定が英米間で見直されることから、本年度はディエゴ・ガルシア島の基地問題に変更し研究を進めた。この成果を、2013年6月15日に大阪大学で開催された日本平和学会春季研究大会「琉球・沖縄・島填国及び地域の平和」分科会で報告した。 最後に、2014年の英米協定見直しに向けチャゴス人がどのような運動を展開しているかを確認するため10月と11月にロンドンとモーリシャスで聞き取り調査を行った。ロンドンでは公文書館を中心に6月の報告で明らかにできなかった英国政府のチャゴス人に対する補償に関する資料収集を行った。モーリシャスでは、チャゴス難民グループ主催の国際シンポジウムに参加し、現在の運動の動向を把握した。(『国際公共政策』(第18巻第2号、2014年に発表)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画であったフィールド調査をハワイからディエゴ・ガルシアの調査へ変更をしたが、それまで研究していた沖縄の事例と共通する箇所を多く見つけることができた。また、本研究の概念を構築するにあたり明確ではなかった点が、ディエゴ・ガルシアの調査を通して明らかになった。以上のことから、現在までの研究達成度はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年は、ハワイの米軍基地とハワイ人に関する調査を予定している。そこでは、これまでの研究と大きく違い、「研究対象者の宗主国が米国のみ」であるという点がある。その相違点を現在の研究とどのように結び付け研究を進めていくか、という点が問題点である。この点は、ハワイ大学で政治学やハワイ人が抱える問題を研究している研究者や実際にフィールドワークを通してハワイ人にインタビューを行い、彼らの自己決定(権)行使の阻害の状況をまとめていくことで問題点を検証していくよていである。また、ハワイの米軍基地に関わる問題を文献や新聞記事などからディエゴ・ガルシアとの違いと共通点を明確にする。
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Research Products
(2 results)