2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J06287
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
町田 拓也 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 量子ウォーク / 極限定理 / 複雑ネットワーク |
Research Abstract |
Simone Severini氏(University College London)らのグループと, 量子ウォークを生成ダイナミクスにもつ複雑ネットワークモデルを, コンピュータを用いて数値解析する研究結果が得られた. 研究成果は論文にまとめられ, 国際雑誌に掲載された. この結果により, 量子ウォークを用いて生成された複雑ネットワークが、古典系のランダムウォークを用いた場合のネットワークとは異なることを数値的に明らかにできた. あるクラスの複雑ネットワークが量子ウォークにより特徴付けられたといえる. C. M Chandrashekar氏(沖縄科学技術大学院大学), 今野紀雄氏(横浜国立大学), Thomas Busch氏(沖縄科学技術大学院大学)との共同研究で, 2次元正方格子上の量子ウォークに関する長時間極限定理を導出した. 2次系の量子ウォークの極限定理の計算は一般に煩雑であり、これまでにも多くの結果は得られていない. この共同研究により、2次元量子ウォークの1つのクラスの極限挙動が明らかにされた. あるクラスの非局在化初期状態をもった1次元量子ウォークの極限定理に関しても結果が得られ、国際雑誌に掲載された. これにより, ある非局在化初期状態の量子ウォークの長時間後の極限挙動が明らかにできた. 平成25年7月より, visiting postdocとしてUniversity of California, Berkeley (California, U.S.)の数学科に滞在し, F. Albert Grunbaum氏と量子ウォークの共同研究を開始した. 特に, 1次元系の量子ウォークを中心に解析を進めている. 量子確率論の一分野である自由確率論の専門家でもあるDan-Virgil Voiculescu教授がオーガナイズするProbabilistic Operator Algebra Sem. (於 UC Berkeley, California, U.S.)にて, 招待講演者として量子ウォークの極限定理と量子確率論の極限定理の関係に関する研究結果を発表して議論を行った. 平成26年1月26日の時点で, 2014年1月15日~18日にBaltimore Convention Center (Maryland, U.S.)にて開催されるJoint Mathematics Meetings 2014のAMS Special Sessionsの1つであるQuantum Walk Sessionにて, 量子ウォークに関する研究成果を招待講演者として発表することが決まった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量子ウォークによって複雑ネットワークのあるクラスを数値的に特徴づけることができ、研究成果が国際雑誌に掲載されたため. 非局在化した初期状態の1次元量子ウォークの極限定理の結果が国際雑誌に掲載されたため. 2次元系の量子ウォークに関する長時間極限定理が得られたため.
|
Strategy for Future Research Activity |
University of California, Berkeley (California, U. S.)の数学科にて現在行っている, F. Alberto Grunbaum氏との共同研究を進める. 数学的な立場から量子ウォークの解析と長時間極限定理の導出を目指して計算や議論を行う. 成果が得られたあとは, 論文にまとめて国際雑誌に投稿することや国際会議などでの発表も考えている.
|
Research Products
(8 results)