2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J06287
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
町田 拓也 明治大学, 総合数理学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 量子ウォーク / 極限定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
個人のみでの研究論文は1本発表した。この論文では、1次元格子上の3状態量子ウォークを研究対象として、それに対する長時間極限測度の計算、そして空間を時間でスケールしたときの長時間分布収束定理を導出した。さらに、このモデルを量子アルゴリズムに応用することも見据えて、量子ウォークの初期状態を適当な非局在化状態にとることで、長時間極限測度で一様測度が構成できることも証明した。共同研究論文は2本発表した。F. Alberto Grunbaum氏(University of California, Berkeley) との共同研究では、時間発展が3周期で変化するような、1次元格子上の時間依存型量子ウォークの極限分布を計算した。研究成果は論文にまとめられ、国際雑誌から出版された。瀬川悦生氏(東北大学)とは、1次元格子に、あるグラフを埋め込んで作られるグラフ上の量子ウォークを解析し、長時間後の確率分布の局在化と長時間分布収束極限定理のコンパクトサポートに関する情報を明らかにした。この論文も国際雑誌に受理された。2015年1月13日にHenry B. Gonzalez Convention Center(San Antonio, TX, America)にて開催された、Joint Mathematics Meetings 2015のAMS Special Sessionsの1つである、Quantum Markov Chains, Quantum Walks, and Related Topics Quantum Walk Sessionにオーガナイザーのひとりとして参加して、さらに量子ウォークに関する研究成果も招待講演者として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個人研究では1つの論文、共同研究では2つの論文を発表して、国際雑誌に受理された。前年度に引き続き、アメリカにて研究活動を行った。また、アメリカで開催された国際会議のセッションのオーガナイズ、および、そこでの発表(招待講演)も行っており、アウトリーチ活動にも力を注いだ。個人での研究だけでなく、国内外の研究者との共同研究やアウトリーチ活動で、量子ウォークの研究に貢献したと言える。以上を理由に、研究進捗状況を上記のように評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、様々なグラフ上で定義される量子ウォークの長時間極限定理の解析を続ける。理論計算を行う際には、その計算をサポートするために必要となる数値計算を、コンピュータを用いて行う。得られた結果は、論文にまとめて発表する。また、論文発表のあとは、研究会などで積極的に発表して、各分野の研究者と議論を交える予定である。最終年度となるため、本研究課題で得られた結果を分かりやすく説明するために、アウトリーチ活動にも、できるだけ力を注ぐつもりである。
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Research Products
(6 results)