2014 Fiscal Year Annual Research Report
AML白血病幹細胞分画におけるnoncoding RNAの発現異常や変異の同定
Project/Area Number |
13J06298
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 翔 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | long non-coding RNA / 急性骨髄性白血病 / 白血病幹細胞 / CRISPR/Cas9 / 網羅的遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
long non-coding RNA(lncRNA)を含む網羅的発現解析公開データであるGSE51757を用いて、骨髄異形成症候群(MDS)で発現が低下しているlncRNAの候補として10個、またMDSで発現が亢進しているlncRNAの候補として3個を前年の解析で抽出している。このようなlncRNAの中で、MDSで発現が特に亢進しており正常細胞との差が大きかったCRNDEに着目した。CRNDEは大腸がん細胞で発現が亢進していることが知られているlncRNAで、腫瘍細胞の代謝に影響し、好気的解糖を促進することが知られている。マウスCRNDEのsiRNAを発現するレトロウイルスベクターを2種類作成し、マウス造血器腫瘍のin vitroモデルであるEvi1強制発現不死化細胞,MLL-ENL強制発現不死化細胞にそれぞれレトロウイルスで導入し、CRNDEの発現をノックダウンした。2種類のベクターがそれぞれCRNDEの発現を約30%に低減することを確認した。この細胞をin vitroで培養し対照との細胞増殖を比較したが有意差は得られなかった。従って、この系からはCRNDEの造血器腫瘍細胞の生存・増殖における重要性を示すことができなかった。 その後、正常核型のde novo急性骨髄性白血病症例で発現量が予後と相関するlncRNAが網羅的解析によって多数報告された(PNAS 2014;111:18679)。これらの白血病の病態における意義は不明であり、高発現で予後不良となる7種のlncRNAについて、その発現をノックアウトすることによる細胞生物学的な影響を評価する方針とした。siRNAよりも確実にlncRNAの発現を抑制するために、単独ベクターでのCRISPR/Cas9発現システムを用いて、7種のlncRNAをコードするゲノム配列にそれぞれ欠失変異を挿入するベクターを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究室として必ずしも慣れ親しんだ実験ではないが、その中で実験系について試行錯誤し色々な方法に取り組んでいる。ノックダウン実験についてはnegativeな結果であったが、コンセプトを変えてヒト症例でのデータから機能性lncRNAの候補を選び直しており、今度はより有意義な結果が導けるのではないかと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
正常核型のde novo急性骨髄性白血病症例で発現量が予後と相関するlncRNAが網羅的解析によって多数報告されており、高発現で予後不良となる7種のlncRNAについて、その発現をノックアウトすることによる細胞生物学的な影響を評価する方針とした。 siRNAよりも確実にlncRNAの発現を抑制するために、単独ベクターでのCRISPR/Cas9発現システムであるpSimpleII-U6-tracr-U6-BsmBI-NLS-NmCas9-HA-NLSを用いて、7種のlncRNAをコードするゲノム配列にそれぞれ欠失変異を挿入するベクターを構築した。これを造血器腫瘍細胞に導入し細胞生物学的な評価を行い、機能があると考えられたものについては個体の系や分子生物学的な評価も用いてその機能を明らかにしていく予定である。
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