2013 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質におけるミニコラムに対応する機能構築の解明
Project/Area Number |
13J06301
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西山 めぐみ 九州大学, 大学院医学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大脳皮質 / 視覚野 / ネコ / 機能的構造 / 二光子イメージング |
Research Abstract |
本研究では研究課題を「大脳皮質におけるミニコラムに対応する機能構築の解明」とし研究を開始したが、研究を進める中で解明する対象について変更を行った。 当初の課題について概要を述べる。サルやネコの大脳皮質一次視覚野の神経細胞は、光刺激の傾きや動く方向といった様々な図形特徴に対する選択的応答性をもっており、水平方向には類似した選択性を持っ神経細胞が規則的に並び、機能マップ構造を示している。一方、げっ歯類の大脳皮質一次視覚野の神経細胞も上記のような選択性を持っているが、水平方向には様々な選択性をもつ細胞が入り混じり、サルやネコのような機能マップ構造が存在しないとわかっている。本研究では大脳皮質の垂直方向における機能的構造に着目し、ミニコラムと呼ばれる解剖学的構造(大脳皮質の垂直方向に見られる、解剖学的に非常に強い結合がみられる構造)が機能的な最小単位構造である可能性を考えて、類似した選択性を持つかどうか調べることを意図し研究課題への取り組みを始めた。 この研究課題の目的は大脳皮質の神経回路の機能的構造を解明することにあり、大脳皮質垂直方向の機能的構造に着目したこともミニコラムが機能的最小単位である可能性について調べる狙いがあったためであった。しかし研究を進める中で、大脳皮質の水平方向に着目しコラム構造を持つ動物の機能的マップ構造についての詳細に調べることが、より大脳皮質における情報処理についての理解が進むと考えられた。そのため、実験動物をマウスからネコに変更し、解析する対象を大脳皮質水平方向の機能的マップ構造に変更した。現在は実験条件の検討などの準備段階を経て、確実にネコ大脳皮質から二光子カルシウムイメージングにより記録が得られるようになっている。調べている視覚特徴に対する選択性は方向選択性、方位選択性、空間周波数選択性である。この研究で大脳皮質の機能的構造について新たな知見が得られる見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は実験器具の改良などに時間を要したが、現在では、器具の改良と手技の習熟により二光子カルシウムイメージング法でネコ17野、18野からどちらも確実に神経細胞の活動記録が取れるようになっている。また、得られた機能的構造についてのデータは従来の研究より空間解像度が高く、細胞一つ一つの応答選択性がわかるものとなっていた。大きな問題はなく順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の解析により大脳皮質の機能的構造についての新しい知見が発表できるものと考えている. 実験の遂行が軌道に乗っている現在、平成26年度はデータの追加取得と解析を行い、新たな知見といえるものを国内の学会において発表し、年内には学術論文としてまとめる予定としている。
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