2013 Fiscal Year Annual Research Report
光遺伝学プローブによるシナプス除去の分子メカニズムの解明
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13J06372
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
細島 頌子 東北大学, 大学院生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オプトジェネティクス / チャネルロドプシン / シナプス除去 / 活動依存性 |
Research Abstract |
【研究の目的】本研究では、"活動的なシナプスが選択され、非活動的なシナプスが除去される"という仮説に基づき、ニワトリ胚の毛様体神経節の杯状シナプスにチャネルロドプシン(ChR)を発現させ、光刺激を与え、シナプスを発火させることで神経活動を引き起こし、そのシナプスの電気的性質および形態を解析し、シナプス除去機構が活動依存的なのかを明らかにすることを目的としている。 【研究実施計画】本年度は特に下記2点、1. 神経活動を誘発させるための最適なチャネルロドプシンの作製と解析、2. 活動依存性の評価を行うためのシステム構築に重点的に取り組んだ。 【研究の具体的内容、意義、重要性】 1. 高感度チャネルロドプシンの作製と解析 従来、ラットの成体などでは脳表面や脳内に光ファイバーなどの光照射装置を挿入し、固定することで、ChRが発現している部位の近傍に光照射を行い、神経活動を引き起こしていた。しかしニワトリ胚の脳は非常に柔らかく、光刺激装置を脳表に固定することができない。一方でニワトリ胚の脳は光透過性が良いという利点を持つ。そこで本研究では脳外部から光刺激を行い、脳内部のChRを活性化することにした。光は脳組織を通過することで、減衰するため、非常に弱い光でも活性化することができる高感度ChRの作製と解析を行った。その結果、改変体ChRFR (C167A)が、弱い光刺激により大きな光電流が得られ、また青色光以外にシアン色の光でも十分に活性化され、膜発現も安定していることが判明した。 2. 活動依存性の評価を行うためのシステム構築 プラスミドの改良により、ニワトリ胚に対してChRの安定的発現が可能になった。またニワトリ胚の卵外培養についてはシャーレのサイズや卵外に移す時期の検討を行った結果、成功率が上昇した。現在、in vivo live imagingのためのshell-less cultureシステム構築が進行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画段階では、25年度は下記4点を達成する予定であった。1. Brainbowを用いたシナプス除去の動態観測、2. 活動依存的な形態の変化の解析、3. 活動依存的な電気的性質の変化の解析、4. 改変体ChRの作製。1-3に関しては、動態を観察するためにシステム構築が進んでおり、活動依存性と関連した実験を次年度中に開始できる見込みがあり、また4に関してはすでに終了しているため、おおむね順調に進行していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに引き続き、1. in vivo live imagingの確立の他、2. ChRを発現させたニワトリ胚に対して長期に渡る外部からの光刺激を与え、活動によるシナプスの電気的性質の変化を調べ、また3. シナプス除去の分子メカニズムの解明に向けて必要なプラスミドの作製等も開始する予定である。さらに確立したin vivo live imagingの方法を用いて、活動ともなうシナプス除去の動態を観察する予定である。
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Research Products
(1 results)