2013 Fiscal Year Annual Research Report
マイオカインの網羅的探索とそれにより発見されたMIFの生理機能解明
Project/Area Number |
13J06434
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
宮武 正太 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 筋収縮 / myokine / MIF / 糖取り込み |
Research Abstract |
運動は多様な医学的な恩恵効果をもたらすが、そのメカニズムは不明な点が多い。近年発見されてきた骨格筋からの生理活性物質(myokine)は筋収縮によって分泌制御され、骨格筋自身やその他の細胞に作用することにより運動の恩恵効果をもたらす可能性がある。 本研究ではmyokineを網羅的に探索するため、まずマウスの骨格筋からサテライト細胞を単離し、骨柊筋細胞に分化させた。その後、これに筋収縮を行わせて細胞を回収し、マイクロアレイにかけることによって筋収縮によって発現が変動する分泌タンパク質を現在探索中である。 また、本研究では先行研究で発見されたmyokineであるmacrophage migration inhibitory factor (MIFの生理機能を解明した。C2C12由来筋管の筋収縮により、MIF分泌量は減少した。次に、筋収縮による生体骨格筋からのMIF分泌量の変化を検討した。MIFは骨格筋以外の組織からも分泌される。そこで、HA標調を付けたMIF (HA-MIF)を骨格筋に導入して骨格筋由来のMIFを区別した。その後回収した血清中にはHA活性が検出されたので、MIFは生体においても骨格筋から分泌されることが明らかになった。一方、MIF抗体によっては内因性のMIFの他にHA-MIFが検出されなかったことから、骨格筋から血液中に分泌されるMIFは他の組織由来のものに比べて非常に少ないと考えられた。ゆえに、骨格筋から分泌されるMIFはendocrineとして遠方の組織に働くのではなく、近傍の骨格筋自体に働く可能性が高い。骨格筋は血糖の主要な取り込み器官であることから、MIFの骨格筋自体への作用として糖取り込みに着目した。その結果、MIFはインスリンと筋収縮による骨格筋の糖取り込みを抑制した。本研究はmyokineが培養骨格筋細胞及び生体骨格筋の両者から分泌されることを初めて証明した。また、MIFはインスリン、筋収縮による骨格筋の糖取り込みを抑制した。筋収縮時にMIF分泌が減少することは、MIFの糖取り込み抑制作用が減少することにつながり、結果として筋収縮による糖取り込みの促進に貢献している可能性がある。また、筋収縮はインスリンによる糖取り込みを促進するのでMIFはこのメカニズムにも関与している可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画ではサテライト細胞由来骨格筋細胞の上清中のmyokineをプロテオーム解析する予定であったが、解析に十分なタンパク質量が回収できなかったため、異なる方法として細胞のマイクロアレイによるmyokineの探索を現在行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
筋収紬後の細胞のマイクロアレイの結果をin silico分析などを用いてさらに詳しく解析し、今後の研究対象としての価値の高いmyokineを発見する。また、一過性運動によるインスリン感受性の充進と骨格筋から分泌されるMIFや骨格筋に浸潤するM2マクロファージとの関係を明らかにする。
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