2013 Fiscal Year Annual Research Report
飼料用籾米給与における暑熱ストレス亢進メカニズムの統合的解明とその制御
Project/Area Number |
13J06451
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
南都 文香 東北大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 飼料用米 / 暑熱ストレス / 肉用鶏 / 酸化ストレス / 炎症応答 / 腸管形態 |
Research Abstract |
我が国は飼料穀物の大半を輸入に依存しており、持続的供給は担保されていない。特に、家畜飼料の主体となるトウモロコシは、飼料用としてのみならず、バイオエタノール原料としての需要も拡大し、国際的需給がひっ迫している。そのため、輸入トウモロコシに替わる、国産飼料穀物として、飼料用米の畜産への活用が期待されている。近年、家禽生産における飼料用米給与の有効性は徐々に明らかとなっているが、ストレス環境下でも利用可能であるかの検証は十分ではない。採用者はこれまで、生産現場における代表的ストレス要因である"暑熱環境"に着目し、慢性暑熱環境下における肉用鶏への飼料用籾米給与は、トウモロコシ給与と比べ、腸管の形態損傷を亢進することを明らかにし、これが成長低下要因となる可能性を示した。そこで本年度は、まず慢性暑熱感作時における籾米給与による成長低下について、腸管を暑熱時のストレス応答に強く関連する臓器と仮定し、成長低下機序を検証し(試験1)、さらに籾米の粉砕処理によるストレス制御試験を実施した(試験2)。試験1 : 籾米主体飼料給与鶏では、トウモロコシ主体飼料給与鶏と比べ、慢性暑熱感作(33℃、7日間)により成長が低下し、この際、酸化ストレスならびに炎症応答が亢進しており、これには、腸管の形態損傷およびバリア機能低下による、腸内細菌由来内毒素の血中への流入が関与することが示唆された。よって、籾米給与時においては慢性暑熱による腸管内のストレス応答を効率的に制御することで、生産性の改善が期待できる。試験2 : 籾米給与による暑熱時の腸管形態損傷の原因の1つに、籾の物理的な影響が考えられたため、籾米の粉砕処理による暑熱ストレス制御試験を実施した。慢性暑熱時における粉砕籾米飼料給与は、全粒籾米飼料給与と比べ、増体量、腸管形態ならびに酸化ストレスを改善することが示唆され、実用的なストレス制御方法を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、慢性暑熱感作時における肉用鶏への籾米給与による成長低下機序の一端を明らかとし、腸管が暑熱時のストレス亢進に強く関連する臓器であることを示した。さらに、腸管形態が籾米の物理的性質により損傷する可能性から、籾米の粉砕処理によるストレス制御試験を行い、籾米の粉砕処理は、暑熱時の増体量、腸管形態ならびに酸化ストレスを改善することを見出した。したがって、暑熱時における成長低下機序の検証だけでなく、ストレス制御に関する有効な方法の開発にも着手できていることから、上記の自己評価に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度実施した、籾米の処理に着目したストレス制御に加えて、腸管へ作用すると予想される機能性資材の籾米飼料への添加給与によるストレス制御を試みる。複数のアプローチによるストレス制御を行うことで、最適ストレス制御方法の確立を目指す。
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Research Products
(3 results)