2013 Fiscal Year Annual Research Report
反応性成分を含む溶液中の弾性膜構造物群による熱物質輸送に関する数値的研究
Project/Area Number |
13J06473
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮内 優 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 数値計算 / 膜輸送 / 濃度拡散 |
Research Abstract |
赤血球の酸素輸送に見られる流体・膜・物質輸送の相互作用問題に対する連成解析手法の開発を目的に, 非適合格子の枠組みの中で生体膜の透過・不透過性を統一的に扱うことが可能な手法の開発を行った。ここで、非適合格子とは膜を解析する格子と流れ場を解析する格子を独立に生成し、両格子形状が適合していない格子を意味する。膜が十分薄い場合には、膜の中立面から成る2次元的な構造物としてモデリングされる。そのため、物質濃度の空間分布は膜の表裏で急激な変化を伴う。従来の研究では、膜表裏の不連続を鈍らした手法や、ある一定の不連続分布を持った手法が開発されていた。しかし、膜を透過する物質流束が膜表裏の物質濃度の不連続量の関数になっている場合にはその不連続をシャープかつ動的に捉える必要があると考えられる。現在までに提案された多くの透過式は膜表裏での不連続量の関数となっている。 本研究では、離散化式に膜表裏における不連続量を組み込むことで膜表裏のシャープな不連続を表現できる有限要素法の定式化を行った。本手法の利点としては、透過・不透過の両方の膜に対して適用が可能であること、非適合格子による定式化を行っているため膜の形状や個数の制限が低いことが挙げられる。既存の提案手法では、透過・不透過の膜に対してどちらか一方に対する手法開発となっている。赤血球などの生体膜は特定の物質のみを透過させる選択的透過性を有しており、透過・不透過の両方に対して同じ定式化ができることの意義は、誤差の評価の観点から大きいといえる。また、本手法は任意形状、複数の膜を扱うことができることから、赤血球の酸素輸送の数値解析に対しての適用性は高いといえる。本手法による計算結果の妥当性については、1次元、2次元の物質拡散問題に適用することで確認を行った。現在、移動・変形する膜に対しての膜透過に対する定式化を行い、その妥当性を確認している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画では現段階で流体-膜の相互作用問題に対する計算手法と膜を介した濃度拡散の手法を連成すると記述したが、現状では膜を介した濃度拡散の手法に対して検証を行っている段階のため。
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Strategy for Future Research Activity |
流体構造連成解析手法についても膜透過に対する手法と同様の考えを用いて定式化を行う。開発した流体構造連成解析手法と膜を介した濃度拡散に対する手法を連成させ、赤血球の酸素輸送にみられる流体・膜・物質輸送を統一的に扱える手法の開発をする。
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Research Products
(3 results)