2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J06487
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩田 陽一 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 指数時間アルゴリズム / FPTアルゴリズム / 分枝限定法 / 木幅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず,厳密指数時間・FPTアルゴリズムの分野で研究されている理論保証付き探索アルゴリズムについて,これが理論上だけでなく応用上も実際に効率的に動作することの実証を目指した.特に頂点被覆問題について研究を行い,25年度に研究を行ったLP緩和に基づく分枝限定法や既存の複雑なリダクションルールを用いた探索アルゴリズムを元に,理論保証のあるアルゴリズムを設計し,現実のグラフに対して,理論保証の無い分枝限定法である既存研究のMCS法及び分枝カット法に基づく商用整数計画ソルバであるCPLEXとの比較を行った.その結果,多くの入力において我々の手法が最も高速に動作することを示すことが出来たとともに,理論研究で得られた探索順序などに関する知見が正しいことが実験的に確かめられ,これらの理論研究が実用上も有用であることを実証することが出来た.この研究は実験系アルゴリズムの国際会議であるALENEX 2015に採択され,発表を行った. 次に,木幅やクリーク幅などのグラフパラメータに関するFPTアルゴリズムの研究を行った.幅を保ったまま別の問題に帰着する新しい手法を開発し,これを用いて幅の制限されたグラフ上で様々な問題の難しさが計算量的に等しいことを示した.近年SAT Solverの急速な性能向上により様々なNP困難問題をSATに帰着して解くということが行われているが,本研究により元の問題が簡単に解ける良い構造を持っているならば,その良い構造を保ったまま帰着することが出来,帰着後も元の問題と同じ難しさを保っていることが明らかになった.これによりSAT Solverを用いて帰着によって解くということの理論的な正当性をある程度示すことが出来たと考えられる.この研究はCOMP-ELC学生シンポジウムで発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り応用上高速な分枝限定法の理論解析や,逆に理論上高速なリダクションに基づく探索アルゴリズムの実用上の有用性実証に成功した. また,SATに関連して良い構造を保った帰着により問題の難しさが保たれることを示すことでSat Solverでの問題解決の有用性を示すことが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
良い構造がある問題に関しては多くの問題がSATと等価であると示すことが出来た一方,一般の場合にはSATと指数時間的難しさが等しい問題は殆ど知られていない. そのためSETHを用いた現在の計算量下界の証明はSATの難しさのみに頼っていることになっており,より信頼性の高い下界証明の手法の開発を行う. また,幅を保った帰着が実際の応用においても有用であることの実証研究を行う.
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Research Products
(6 results)